研修医 先生、無事に帰ってきました。
指導医 おお、お帰り。アメリカでの臨床留学はどうだった?
研修医 はい、なかなか有意義な1カ月でした。面白い症例を診てきたんです。先生向けの。
指導医 へえ、じゃあ早速教えてくれないか。
研修医 21歳の女性で、特に診断のついた既往歴はないのですが、13歳ごろから原因不明の腹痛発作を繰り返していたようです。病院での診断名は毎回「急性腹症」で、入院になるのですが、モルヒネなどの痛み止めを投与することで、2~3日で良くなるそうです。
13歳の時に一度、急性腹症の診断で腹腔鏡を受けたのですが、少量の腹水が認められただけで特に診断は付かなかったようです。ほかにもいろいろと消化器の検査を受けたものの、原因不明と言われ続けたそうです。
2~3年ほど前から手足の浮腫が突然起きることがあり、アレルギーを疑われて様々な検査をしたらしいのですが、原因は不明だったようです。複数の食物アレルギーの可能性があると言われたらしいですが、本人としては特に、それらの食べ物はその後食べても問題がなかったそうです。膠原病も疑われて、膠原病の医者にもかかったらしいのですが、特に診断は付かなかったようです。
指導医 なるほど、確かに私向けの症例のようですね。
研修医 今回、この患者さんを私が診た時は、1日前からいつもの腹痛が出始めて、悪化してきたため入院となったのですが、入院当日の朝、起きると唇が腫れていたということで、救急外来を受診されました。
指導医 他に腫れているところはあったのかい?
研修医 いいえ、腹痛と唇の腫れだけでした。上唇は全体がタラコのように腫れていて痛みがあり、下唇は左半分だけが腫れていました。舌は腫れていませんでした。喉の訴えもなく、呼吸も安定していました。
指導医 かゆみは訴えていなかったんですね?
研修医 かゆみはありませんでした。
指導医 蕁麻疹もない?
研修医 ないですね。
指導医 何か薬は飲んでいたんですか?
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著者プロフィール
本連載は、聖路加国際病院アレルギー膠原病科の岸本暢将(きしもと みつまさ)氏、田巻弘道(たまき ひろみち)氏、岡田正人(おかだ まさと)氏らが中心となり執筆します。

連載の紹介
【臨床講座】非専門医のためのリウマチ・アレルギー診療Update
リウマチ膠原病・アレルギー領域は、新しい治療法の開発が盛んで、診断基準も見直されるなど、目まぐるしく変化しています。この領域の診断法、治療法を、最新の話題を交えながら分かりやすくお伝えします。
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