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【第13回】
ただの肩こり頸部痛だと思ったら…

2011/03/14
岸本暢将、田巻弘道、岡田正人(聖路加国際病院アレルギー膠原病科〔成人、小児〕)

研修医 先生、先週診た外来の患者さんの相談をしたいんですが、今大丈夫ですか?

指導医 いいですよ。ケースカンファレンスの練習だと思って、症例提示をしてごらん。

研修医 はい。患者さんは75歳女性で、1カ月前に、朝起きると左後頸部痛があることに気付きました。最初は寝違えたと思っていたそうですが、痛みは1日中持続し、2~3日で上腕、肩、膝に広がったため、かかりつけの整形外科を受診しました。

指導医 なるほど。整形外科ではどのような診断が出たの?

研修医 整形外科でレントゲン検査を行いましたが、「年相応で異常なし」ということで、肩こり頸部痛の診断でNSAIDsを処方されたそうです。患者さんは、NSAIDsを飲んで膝痛は若干改善しましたが、上腕の鈍痛や両肩、首筋の痛みは続き、寝返りをすると痛みが増悪するようになりました。また、朝方のこわばりが出現し、目覚めてから起き上がるまでに数十分間かかるようになりました。

指導医 それで当院へ?

研修医 この方はもともと高血圧のため当院内科でフォローされていて、2週間前に当院を定期受診されています。その時は特に発熱はありませんでしたが、血液検査の結果、赤沈(ESR)83mm/時およびCRPが6mg/dLと亢進していました。その後、38℃台の発熱、軽度の寒気を認めたため、近医を受診して風邪薬を処方されましたが、37℃後半の発熱が持続したため、当院アレルギー膠原病科を紹介受診しました。

指導医 OK。では、来院時の身体所見に行ってみようか。

研修医 はい。上気道炎症状や膀胱刺激症状はなし。Sickコンタクトもなく、最近の旅行歴もありません。手足のしびれや頭痛、複視や視力低下も認められませんでした。

 既往歴として、変形性膝関節症。また、骨粗鬆症で近医、高血圧で当院に通院中です。肩こりは以前からときどき疲れたときにあったとのことです。2カ月前に受けた人間ドックでは異常ありませんでした。薬歴としては、現在、降圧薬とビタミンDおよびビスホスホネート製剤を服用中です。

 身体所見では、バイタル体温37.8℃以外は異常なく、頸部正中に軽度の圧痛を認める以外は頭部(側頭動脈正常)、咽喉部、胸腹部、皮膚に特に感染症を示す異常所見はありません。筋骨格系の診察では、筋力低下はなく、両肩外転70度と制限を認めました。Hawkins徴候(インピンジメント)が陽性。左三角筋部両側圧痛あり。

指導医 なるほど。典型的だね。

研修医 はい。高齢者に比較的急性に起こった両肩・首痛、特に筋力低下を伴わない体幹から近位筋の痛みやこわばりで、身体所見では肩関節周囲炎を示す所見を認め、炎症反応も高いことから、PMRリウマチ性多発筋痛症)と診断しました。特に側頭動脈炎を示唆する所見はありませんでした。

指導医 分かりました。去年(2010年)の米国リウマチ学会で発表になったPMR新基準(次ページ表1)でも十分診断ができるね。

著者プロフィール

本連載は、聖路加国際病院アレルギー膠原病科の岸本暢将(きしもと みつまさ)氏、田巻弘道(たまき ひろみち)氏、岡田正人(おかだ まさと)氏らが中心となり執筆します。

連載の紹介

【臨床講座】非専門医のためのリウマチ・アレルギー診療Update
リウマチ膠原病・アレルギー領域は、新しい治療法の開発が盛んで、診断基準も見直されるなど、目まぐるしく変化しています。この領域の診断法、治療法を、最新の話題を交えながら分かりやすくお伝えします。

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