研修医 先生、よかった! まだいらっしゃったんですね。
指導医 明日のお昼のレクチャーのスライドを作り終わったところだけど、どうしたの?
研修医 今日は当直なんですけど、救急からCKの上がっている患者さんのコンサルトがあって、ちょっと会ってきたところなんです。
指導医 おっ、膠原病かもしれないね。患者さんに会うのが一番手っ取り早いから、一緒に救急室に行こうか。
《歩きながら》
研修医 患者さんは75歳の男性で、アマチュアゴルフの全国大会にも出るほどのアクティブな人らしいです。
指導医 ほー、それはすごいね。そういえば、運動でどのくらいCKが上昇するか知ってる?
研修医 先週のレクチャーで、筋肉が1g壊れるとCKが500ぐらい上昇すると習ったので、筋肉注射の後と一緒で、極端な例では数千ぐらいは上がるのでは?
指導医 おっ、よく覚えているね。とはいっても、運動で上昇するCKはすぐに下がってしまうので、前日に運動したからといって1000以上になることはほとんどないんだよ。この患者さんはどう?
研修医 この患者さんも、ゴルフの練習場で3時間も打ち続けた日に筋肉痛が始まったそうです。実は症状が出たのは3週間も前で、ここ2週間は筋力低下もあってほとんど寝ていたそうなんです。1週間前にかかりつけの先生の所に行って、結果を聞きに行ったらCKが1500もあったので、すぐ大きな病院に行くように言われてきたそうです。
指導医 最初は運動のしすぎで筋肉痛だと思っていたら、どうやら違っていた、ということだね。確かに、普段から鍛えている人の方が日常生活で症状が出るのが遅れることはあるみたいですね。それで、今日のCKはいくつなの。
研修医 実は4800もあるんです。膠原病にしては急に上がりすぎということで、まず甲状腺疾患や感染症を考えて検査してくれていたようです。
指導医 そんなに急って気はしないけどね。確かに、甲状腺機能低下症やスタチンなどの薬剤もCKの急上昇の原因になるし、それに比べると膠原病は頻度が少ないよね(表1)。普通は膠原病というと若い女性の病気というイメージがあると思うけど、皮膚筋炎や顕微鏡的多発血管炎なんかは、高齢者で男性にも多いんだよ。
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著者プロフィール
本連載は、聖路加国際病院アレルギー膠原病科の岸本暢将(きしもと みつまさ)氏、田巻弘道(たまき ひろみち)氏、岡田正人(おかだ まさと)氏らが中心となり執筆します。

連載の紹介
【臨床講座】非専門医のためのリウマチ・アレルギー診療Update
リウマチ膠原病・アレルギー領域は、新しい治療法の開発が盛んで、診断基準も見直されるなど、目まぐるしく変化しています。この領域の診断法、治療法を、最新の話題を交えながら分かりやすくお伝えします。
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