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【第8回】
ペニシリンアレルギーにセフェム系薬ってどうですか?

2010/09/27
田巻弘道、岸本暢将、岡田正人(聖路加国際病院アレルギー膠原病科〔成人、小児〕)

研修医 あっ、先生。いいところでお会いしました。お聞きしたいことがあったんですよ。

指導医 おお、久しぶりだね。最近見かけないと思ったら、どうしていたんだい?

研修医 今は内科のローテーションが終わって、麻酔科にいるんです。ところで、ペニシリンアレルギーの人ってたくさんいますよね。しかも、アレルギーが起きた時の症状を聞いてみると、だいたい、「小さいころのことだから、親から聞いているだけでよく分からない」っておっしゃるんですよ。こういう人にはどんな抗菌薬が使えるのかなぁと思って、先生にお聞きしてみたかったんです。

指導医 なるほど、いい質問だね。ペニシリンアレルギーは10%もの患者が「ある」と申告するアレルギーだからね。では、このような患者に実際にペニシリンを投与してみたらどうなるか知っているかい?

研修医 当然、何らかのアレルギー反応を起こすんじゃないですか?

指導医 そうでもないんだよ。ペニシリンアレルギーがあると訴える患者のうち、90%が実際にペニシリンを使っても問題がなかったというデータもあるんだ。

研修医 本当ですか? どうしてそんなことが起きるんですか?

指導医 1つは、ペニシリンに対する特異的なIgEが時間の経過と共に弱まっていくことが挙げられるんだ。もちろん、こうした現象は全員に起きるわけではないけどね。もう1つは、そもそもペニシリンアレルギーという診断が正しくなかったということもあるだろうね。

研修医 へえー、さっそく勉強になりました。

指導医 では、どんな患者がペニシリンアレルギーを起こしやすいと思う?

研修医 アトピーの患者は起こしやすいのではないかと思います。

指導医 実は、アトピー素因を持っているからといって、ペニシリンアレルギーの頻度が増えるわけではないようなんだ。βラクタム系の抗菌薬やサルファ系の抗菌薬は、それ自体は低分子の化合物なので直接抗原にはなりにくく、ハプテン化することによって抗原性を持ち得るんだ。一方、アトピーなどは高分子化合物への反応なんだよ。

研修医 なるほど。

指導医 ただ、アトピー素因のある人では重篤なアナフィラキシーの頻度が増える可能性は示唆されているんだよ。ところで、ペニシリンアレルギーってひとくくりにしているけれど、どういった症状が出るか知っているかい?

研修医 アナフィラキシーが一番怖いですね。それと、皮疹。あとは・・・。

指導医 即時型反応、つまりIgEが関与するⅠ型アレルギーはアナフィラキシーも起こし得るし、一番怖いものだよね。頻度は0.004%から0.015%と言われていて、20歳から50歳くらいの成人に見られやすいんだ。

著者プロフィール

本連載は、聖路加国際病院アレルギー膠原病科の岸本暢将(きしもと みつまさ)氏、田巻弘道(たまき ひろみち)氏、岡田正人(おかだ まさと)氏らが中心となり執筆します。

連載の紹介

【臨床講座】非専門医のためのリウマチ・アレルギー診療Update
リウマチ膠原病・アレルギー領域は、新しい治療法の開発が盛んで、診断基準も見直されるなど、目まぐるしく変化しています。この領域の診断法、治療法を、最新の話題を交えながら分かりやすくお伝えします。

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