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「チューハイ1、2本で依存症の疑い」ってホントですか?

2019/10/31
鈴木 瞬(SNCメンタルヘルス・産業医事務所代表)

 検査がなく、薬もなければ、時間もないこの部屋で、今日も事件が起こる……!
 20XX年11月、茨城県内の○×研究所にて。

 (健康診断結果に基づく就業判定中)

産業医の鈴木 (山本美紀子さん、γGTPが196 IU/L、平均赤血球容積[MCV]が102 fL※1、飲酒は「毎日、1合以上」か……※2。通常勤務可、ただし要産業医面談、と)
※1 同じアルコール使用障害でも、職域の問題飲酒水準とホスピタルケースの重度アルコール依存症では当然病態水準は異なり、前者は多少の節酒ができる。健診1~2週前から節酒・断酒をし、健診後は浴びるほど飲んでいるストーリーも想像しておいたほうがいいだろう。つまり、γGTPは日常に比べ若干低い可能性を想定しておいたほうがよい。併せて、MCVなども評価しておく。
※2 飲酒の過少申告はよくあることなので、鵜呑みにしないほうがいいだろう。そもそも、アルコール飲料の多様化に伴い若年層を中心に「1合、2合」での把握ができていないことが多い。例えばあなたはスト〇ングゼロのロング缶1本が何合で、ほろ〇い1本が何合か把握しているだろうか? いい加減に合計算とは決別し、純アルコール量(g)計算を普及させるべきである。

鈴木 小池さ~ん、判定終わりました。
保健師の小池 あ、は~い、お疲れ様です。……山本さん、「面談」ですね。じゃあ、来月の訪問日に入れておきます。
鈴木 山本さんって、仕事上は何か問題とか起こしてない?
小池 いえいえ。それどころか、この人は女性上席研究員で、うちの花形の1人ですよ(山本さんが写った研究所パンフレットを見せてくる)
鈴木 へえ~、そうなんだ。事前に「AUDIT」を山本さんに渡しておいてください。
小池 おーでぃっと?
鈴木 アルコール(使用障害)のスクリーニング。このサイトに載ってるから。

著者プロフィール

鈴木瞬(SNCメンタルヘルス・産業医事務所代表)●すずき しゅん氏。2009年高知大卒、筑波大院修了。博士(医学)。産業医大で研修後、筑波大産業精神医学に入局。首都圏での精神科診療や産業医実務を経て、2014年SNC産業医事務所開業。2015年より豊後荘病院精神科。2019年同院退職し、現職。

連載の紹介

5分で勝負!産業メンタルヘルス事件簿
実際性のあるメンタルヘルスを提唱する筆者による、キレイゴト抜きの面接ライブ!コメントは実名でお願いします。若手医師・医学生のためのヘルスマネジメント連載「研修医のための人生ライフ向上塾!」も隔月で連載中!

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 ストレスにさらされながらも、しなやかに適応する術、「健康生成論」の実践を専門とする筆者が、初期研修生活のライフハックから医師人生におけるストレスへのマネジメントについて、ときに学術的、ときに超主観的につづります。

 書き下ろし補講コラムや特別対談2本を加えての書籍化です!(鈴木 瞬著、日経BP、2916円税込み)

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