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コロナ禍で本来の治療が行えなかった1例

2021/06/07
西村 涼(勤医協中央病院)

著者の西村涼氏

 皆様、初めまして、勤医協中央病院初期研修医2年目の西村と申します。今年で4年目となるレジデントチャンピオンシップの決勝戦出場の特典で今回執筆の機会をいただきました。

 勤医協中央病院の名を初めて聞いたという方も多いと思いますので、まずは簡単に研修の紹介をします。当院は北海道札幌市にある病院で、主に他の病院では受け入れが難しいような行き場のなくなった患者を率先して受け入れるという理念を掲げています。救急車受け入れは年間8000台前後と、札幌市では2番目に多く救急車がやってくるためERは常にフル稼働の状態です。ERでは主に、患者の初療は日勤・当直の初期研修医が担当し、2年目研修医は入院・帰宅の判断や入院登録も自分で行って良いこととなっています。

 そんな病院で私が働き始めたのは2020年度、ちょうど新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行し、自粛という言葉が多方面で聞かれ始めた時期でした。職員はもちろん、患者もマスクを着用しているという異様な光景で(今は慣れましたが)、発熱患者対応の際は全例フルPPE着用が義務付けられ脱ぎ着が大変であったり、感染対策の観点やコロナ禍での病床確保の観点から従来の教科書に書いてあった知識が全く参考にならない場合があったりと、肉体的にも精神的にもハードな状態から研修がスタートしました。

 それでも先輩研修医や指導医に助けられ、失敗を繰り返しつつもなんとか最初の1年間を乗り切ることができました。経験した症例としては心不全や肺炎などシンプルな教科書通りの症例から、禁酒の意志がないアルコール性肝硬変に併存した糖尿病の血糖管理及び社会調整など、いわゆるマルチモビディティと言われるような症例まで様々でした。治療がうまくいきその後定期的に外来でフォローしている症例もあれば、初期判断を誤ったことにより治療が長引いてしまい、非常に反省が残った症例もありました。今回はその中でも特に印象に残っている、コロナ禍という特殊な状況のために本来行いたかった治療が行えなかった1例を紹介したいと思います。

連載の紹介

連載◎レジデントチャンピオンシップへの道
研修医日本一の称号はだれの手に――。研修医として学んできた知識と臨床力をクイズ形式で競い合うイベントが、装いも新たに「レジデントチャンピオンシップ」(通称レジ王)として開催されます。この連載では、研修医日本一への道のりをたどりながら、研修医の皆さんの横のつながりに加え、指導医、さらには群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春先生のような大御所医師との縦のつながりを生むチャンスを提供していきます。

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