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糖尿病診断基準の改訂で早期治療は実現したか?

2012/06/11

 2010年7月に糖尿病診断基準が11年ぶりに改訂されました。判定項目として、従来の血糖値のほかにHbA1c値が新たに採用され、「HbA1c 6.5%以上」(注:国際標準値。JDS値では6.1%以上)の基準が追加されました。これにより、HbA1cと血糖値の検査でともに基準を超えて糖尿病型だった場合や、HbA1cのみ糖尿病型となり、再検査で血糖値が糖尿病型になった場合などは、糖尿病と診断することになりました。

 注目点は、血糖値とHbA1cの同時測定で、その日のうちにも糖尿病の診断が可能になったことです。改訂前は、血糖値を別の日に検査することが必要だったため、糖尿病の大半を占める2型糖尿病の人の場合、自覚症状がない初期段階に再検査を受けたがらず、結果、症状が進行する例が少なくありませんでした。改訂後は、1回の検査で疾患が明らかになれば、患者が病状を認識し、医師も治療を勧めやすくなりました。

 では実際には、健康診断を受けて糖尿病と判明してから、糖尿病用薬が処方されるまでにどのくらいの時間がかかっているのでしょうか。また診断基準が改訂されて以降、糖尿病と診断された患者の健診データには、何らかの特徴や傾向が出ているのでしょうか。そこで今回は、糖尿病の患者の受診パターンや、診断基準改訂後の患者データなどについて調べてみました。

初受診から糖尿病用薬の処方までの期間は?
 調査対象の母集団は、08年1月~11年10月に健康保険組合への加入が確認され、糖尿病用薬の処方を開始した2型糖尿病の患者です。受診パターンを調べるため、処方の開始前にさかのぼり、健診を受けた日、初めて受診した日からの経過日数をそれぞれ集計。この際、処方開始前の1年間において、他の薬剤の処方がなく、かつ健診を受けた日から半年以内に初めて受診(糖尿病の診療を開始)していることを条件にしました。薬を処方された患者のみを対象にしていますので、運動・食事療法が奏功して処方に至っていない患者は含まれない点をあらかじめご了承ください。

 なお、院内処方の場合、医科レセプトで薬の処方日が正確に確認できないため、調査対象は院外処方の患者のみとしました。集計に当たっては、医科レセプトと調剤レセプトを突合した上で、便宜上、調剤レセプトの調剤日を処方日としています。

 集計の結果、条件に該当した糖尿病の患者数は342人。このうち、旧診断基準が適用されていた10年6月以前に処方を開始した患者は168人で、新基準が実施された7月以降に処方を開始した患者は174人でした(表1)。

著者プロフィール

木村真也(株式会社日本医療データセンター社長)●きむらしんや氏。1981年京都産業大学卒。大手外資系製薬会社マーケティング部長、CROバイスプレジデントなどを経て、2002年に日本医療データセンターを設立。

連載の紹介

レセプトを読み解く
日本医療データセンター(JMDC)では、複数の大手健康保険組合からのレセプトや健診データを基に、様々な分析を行ってます。1000万件を超える膨大なデータから、同社社長の木村氏が、医療の「今」を探ります。

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