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「2型糖尿病の癌発症率は高い」は本当?

2011/02/07

 日本では糖尿病患者が増え続け、現在の患者数は約1000万人、予備群を入れると約2000万人以上に上るともいわれます。糖尿病は様々な疾患を合併することが知られていますが、米国では、糖尿病があると患者の死亡リスクが高まるとの研究論文も発表されています(関連記事:2009.1.16:「糖尿病があると癌患者の死亡リスクが高まる」)。

 そこで今回は、統計に詳しい同僚の助力を得て(謝辞!)、2型糖尿病患者における癌の発症率について調べてみました。調査対象は、「2型糖尿病患者」と「非糖尿病患者」においての癌発症の差を最低でも2年以上観察できる健康保険組合の加入者77万1338人。最長の観察期間は78カ月です。

 まず、観察期間内に、ICD10でE11-14(疑い病名を除く)の2型糖尿病として受診があった人を「2型糖尿病患者」としました。最初は糖尿病用薬の処方があった患者を「糖尿病患者」としてみましたが、対象数が減少してしまうため病名を使って定義しています。一方、観察期間内に、1型糖尿病も含めて一度も糖尿病で受診がなかった人を「非糖尿病患者」としました。

 癌については、白血病やリンパ腫以外の固形癌(ICD10でC00-80、97の固形癌として受診があった人で疑い病名を除く)としています。癌による受療をエンドポイントとして、受療が無かった場合には、観察期間終了時、または退職や死亡による脱落をもって観察打ち切りとしました。なお、時間的な因果関係が不明になりそうな以下のようなケースは、分析対象から除外しています。

・糖尿病診療開始前から癌に罹患している場合 
・レセプト収集前から癌に罹患している場合(発癌までの観察が不可能なため)
・癌と糖尿病を同時に診断された場合(因果関係の特定が困難なため)
・糖尿病の診療開始日が観察期間より前にある場合(観察開始までの発癌の有無についての情報が取りきれない可能性があるため)

 今回の対象集団の詳細については、図1と図2を参照ください。健康保険組合のデータですので、65歳以上の高齢者数は少数です。

著者プロフィール

木村真也(株式会社日本医療データセンター社長)●きむらしんや氏。1981年京都産業大学卒。大手外資系製薬会社マーケティング部長、CROバイスプレジデントなどを経て、2002年に日本医療データセンターを設立。

連載の紹介

レセプトを読み解く
日本医療データセンター(JMDC)では、複数の大手健康保険組合からのレセプトや健診データを基に、様々な分析を行ってます。1000万件を超える膨大なデータから、同社社長の木村氏が、医療の「今」を探ります。

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