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一包化に合わせることができる吸入薬

2022/01/25

 日常診療で期待する治療効果を得るためには、処方した薬剤を患者が決められたようにしっかりと服用することが治療の前提となります。この服薬アドヒアランスを良好に維持することは、治療の基盤になります。

 内服薬の場合、薬剤を取り出した後に残る空のヒートシートを確認することで、患者自身も介護者も内服状況が確認できます。特に高齢患者で、飲み忘れや服用間違いが著しい場合、服用回数や錠数の間違いを避けるために、朝、昼、夕、寝る前など同じ時間帯に内服する薬を一緒に合わせ一袋内にセットする、いわゆる「一包化」がしばしば行われています。

 一方、吸入薬は内服薬と比較し、一般的に服薬アドヒアランスの低下が著しく、これを吸入指導で補う努力が繰り返されてきました。2020年の調剤報酬改定で「薬剤服用歴管理指導料」に「吸入薬指導加算」30点が新設され、薬剤師による吸入指導に保険点数が加算されたことは記憶に新しいことですが、吸入指導の重要性が再確認された大きな一歩といえます。これまで、数回吸入指導を繰り返しても、正しい吸入手技操作が体得できない場合は、その患者さんの身体的なハンディキャップなどを再評価し、操作性がよりマッチした、より簡便な別のデバイスへの変更もしばしば試みてきました。

 しかし、的確な操作を正しく体得しても、吸入回数や吸入時間を守れない、吸入を忘れてしまう、アドヒアランスの悪い患者さんが少なくありません。服薬アドヒアランスと吸入手技の誤操作は別次元の問題であるからです(図1)。特に、内服薬を「一包化」している患者さんの場合、内服回数は守れても、吸入薬がそのまま放置される場合もあり、介護者も吸入したのか把握できていない場合がよくあります。当然のことながら、吸入薬は内服薬のように「一包化」はできませんから……。

 えっ!? そうでしょうか?

著者プロフィール

大林浩幸(東濃中央クリニック〔岐阜県瑞浪市〕院長)●おおばやし ひろゆき氏。日本呼吸器学会「COPD診断と治療のためのガイドライン(第4版)、(第5版)」査読委員、日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン(JGL2009、JGL2012、JGL2015、JGL2018)」作成委員。藤田医科大学医学部客員教授、島根大臨床教授。吸入療法アカデミー代表理事。

連載の紹介

プライマリケア医のための喘息・COPD入門
「吸入薬を処方したのに症状が改善しない」という患者さんの多くは、正しい診断に基づいた適切な治療を施すと、とても良くなります。喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診療において、みなさんが陥りやすいピットホールと、的確な診療のポイントをわかりやすく解説します。
この連載を書籍化しました!
『喘息・COPD吸入療法の患者指導に必携!
メカニズムから見る吸入デバイスのピットホール』好評発売中

 このたび、この連載「プライマリケア医のための喘息・COPD入門」を書籍化いたしました。
 2013年6月から開始したこの連載は、気管支喘息やCOPD診療の主役となった吸入デバイスによる吸入療法を指導する上で必要な情報、患者が陥りやすい操作ミスを、具体例とともに紹介しています。
 書籍では、現在利用可能な11の吸入デバイスごとに、合計300枚を超える写真をふんだんに使いながら、患者が陥りやすいピットホール(誤操作)を大林浩幸氏が書き下ろしています。さらに本書では、吸入デバイスの内部メカニズムも解説。デバイスのメカニズムを知り、操作ミスが発生する母地を把握しておくことで、患者の操作ミスを発見しやすくなり、ミスを起こしやすい操作を重点的に指導することも可能になります。
 ぜひ、日々の患者指導にご活用ください。(大林浩幸著、日経BP社、4500円+税)

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