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電子たばこ爆発事件、カウボーイの町で起きた命取りの一服

2019/06/03

 今(令和元年5月18日)、私は米国呼吸器学会(ATS)で研究論文を発表するため、米国テキサス州ダラスに来ています。

 ダラスと言えば、1963年11月22日、教科書倉庫ビル6階から放たれた銃弾が第35代米国大統領ジョン・F・ケネディ氏の命を奪った暗殺事件で有名です。私にとって、テキサスは西部劇映画の舞台として、カウボーイが馬にまたがり、荒れくれ者と戦うイメージがあり、カウボーイがマールボロ(たばこの銘柄)をくわえながら銃を構える映画の一場面を、子ども心に格好良いと感じていた頃が思い出されます(今ではあれは間違いだったと思っていますが)。

 だからこそ、完全禁煙を掲げる米国呼吸器学会が今年総会を開催する、テキサスの今の喫煙事情に興味がありました。ダラス近郊都市フォートワースのストックヤードに今も残るカウボーイは、西部劇映画のように馬上や酒場でマールボロを格好良くくわえているのか? そして、4カ月前の2019年1月にフォートワースで起きた、脳裏に焼き付くある事件。学会の合間にフォートワースに行こうと決めていたのは、そんな理由がありました。

 電車から降り立ったフォートワースは平均的な米国地方都市ですが、日本の同規模の街と比較して駅構内はもとより路上でも喫煙している人はおらず、たばこの販売機や販売店、灰皿も見当たりませんでした。全米で進むたばこ規制は本当に徹底されていると実感しました。西部劇映画のイメージが残るストックヤードは観光地化されていましたが、路上に古老のカウボーイを発見しました。白い髭づらで少し強面でしたが、話しかけると馬を触らせてくれました。映画ではカウボーイと言えば喫煙ですが、しばらく見ていてもたばこを取り出す様子がありません。そこで以前から本物のカウボーイに会ったら聞いてみたいと思っていた疑問である喫煙のことを聞いてみたところ「(カウボーイの)激しい仕事はたばこを吸っていてはできない。もうずいぶん前からマールボロに会っていない」と言います(写真1)。

写真1 毎日2回ずつ定時に行われるThe Fort Worth the Herd (牛の行進)。ストックヤード観光の目玉の1つ。外国人記者の取材を受けていた様子から、牛を率いているのは私の探していた本物のカウボーイと確信。

著者プロフィール

大林浩幸(東濃中央クリニック〔岐阜県瑞浪市〕院長)●おおばやし ひろゆき氏。日本呼吸器学会「COPD診断と治療のためのガイドライン(第4版)、(第5版)」査読委員、日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン(JGL2009、JGL2012、JGL2015、JGL2018)」作成委員。藤田医科大学医学部客員教授、島根大臨床教授。吸入療法アカデミー代表理事。

連載の紹介

プライマリケア医のための喘息・COPD入門
「吸入薬を処方したのに症状が改善しない」という患者さんの多くは、正しい診断に基づいた適切な治療を施すと、とても良くなります。喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診療において、みなさんが陥りやすいピットホールと、的確な診療のポイントをわかりやすく解説します。
この連載を書籍化しました!
『喘息・COPD吸入療法の患者指導に必携!
メカニズムから見る吸入デバイスのピットホール』好評発売中

 このたび、この連載「プライマリケア医のための喘息・COPD入門」を書籍化いたしました。
 2013年6月から開始したこの連載は、気管支喘息やCOPD診療の主役となった吸入デバイスによる吸入療法を指導する上で必要な情報、患者が陥りやすい操作ミスを、具体例とともに紹介しています。
 書籍では、現在利用可能な11の吸入デバイスごとに、合計300枚を超える写真をふんだんに使いながら、患者が陥りやすいピットホール(誤操作)を大林浩幸氏が書き下ろしています。さらに本書では、吸入デバイスの内部メカニズムも解説。デバイスのメカニズムを知り、操作ミスが発生する母地を把握しておくことで、患者の操作ミスを発見しやすくなり、ミスを起こしやすい操作を重点的に指導することも可能になります。
 ぜひ、日々の患者指導にご活用ください。(大林浩幸著、日経BP社、4500円+税)

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