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電子たばこの使用は卒煙へのプロセスなのか?

2019/04/05

 前回、「有害物質を約90%低減した喫煙」であっても、新型たばこ(加熱式たばこ、電子たばこ)には有害性があることを示しました。しかし、私の診療現場でも、従来の紙巻たばこから新型たばこに移行する喫煙者が最近増えており、「軽くなったので大丈夫」と漫然と喫煙を続ける場合があります。

 その一方で、禁煙するプロセスと捉えている患者さんも多くいます。近年の米国での調査でも、喫煙者2254名の約4分の1が電子たばこを使用するようになっており、その理由(複数回答可)として、58.4%が禁煙目的、57.9%が減煙目的、51.9%が健康被害の軽減を挙げています1)。しかし、本当に、卒煙へのプロセスの1つと捉えて良いのでしょうか?

 実際には電子たばこへの移行は禁煙成功に結び付いていないという結果が報告されています。新型たばこのうち、海外で広がっている電子たばこについての主要な研究38報のメタアナリシスでは、電子たばこを用いた群の方が用いなかった群と比較して禁煙成功率が28%も低いという結果が示されています(図1)2)。つまり、紙巻きたばこから電子たばこへ切換えても、卒煙のプロセスにはならないのです。タバコ企業による電子タバコのイメージ戦略により、「電子タバコは有害性が低く、禁煙に向けての準備になり得る」との誤った認識がそのまま一般に浸透していることになります。

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著者プロフィール

大林浩幸(東濃中央クリニック〔岐阜県瑞浪市〕院長)●おおばやし ひろゆき氏。日本呼吸器学会「COPD診断と治療のためのガイドライン(第4版)、(第5版)」査読委員、日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン(JGL2009、JGL2012、JGL2015、JGL2018)」作成委員。藤田医科大学医学部客員教授、島根大臨床教授。吸入療法アカデミー代表理事。

連載の紹介

プライマリケア医のための喘息・COPD入門
「吸入薬を処方したのに症状が改善しない」という患者さんの多くは、正しい診断に基づいた適切な治療を施すと、とても良くなります。喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診療において、みなさんが陥りやすいピットホールと、的確な診療のポイントをわかりやすく解説します。
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 このたび、この連載「プライマリケア医のための喘息・COPD入門」を書籍化いたしました。
 2013年6月から開始したこの連載は、気管支喘息やCOPD診療の主役となった吸入デバイスによる吸入療法を指導する上で必要な情報、患者が陥りやすい操作ミスを、具体例とともに紹介しています。
 書籍では、現在利用可能な11の吸入デバイスごとに、合計300枚を超える写真をふんだんに使いながら、患者が陥りやすいピットホール(誤操作)を大林浩幸氏が書き下ろしています。さらに本書では、吸入デバイスの内部メカニズムも解説。デバイスのメカニズムを知り、操作ミスが発生する母地を把握しておくことで、患者の操作ミスを発見しやすくなり、ミスを起こしやすい操作を重点的に指導することも可能になります。
 ぜひ、日々の患者指導にご活用ください。(大林浩幸著、日経BP社、4500円+税)

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