日経メディカルのロゴ画像

実は専門医でも難しい喘息コントロールの評価
末梢気道の喘息炎症を探る新しい検査法

2014/07/21

 患者さんの喘息状態が、真に良くコントロール出来ているかを症状のみから見極めることは、専門医でも難しい場合があると考えています。

 その理由は、1月22日の本連載でも述べたように、「症状が良くなったこと」と「喘息炎症が良くなったこと」は、必ずしも一致しないからです。喘息の炎症中枢気道のみならず、末梢気道から肺胞に及ぶ広い領域で生じています。中枢気道は全気道容積の1割であり、残り9割は気道内径2mm未満の末梢気道です。重要なのは、咳などの喘息症状のほとんどは中枢気道の炎症を反映する一方、末梢気道は症状の乏しいサイレント領域であることです。

 そのため、仮に末梢気道に炎症が残存していても、患者さん自身はほぼ無症状のため、訴えが無いことがあります。このような時、患者さん自身による吸入ステロイド薬の自己中断や誤った減量で、症状の再燃や発作を経験することがあります。真に良好な喘息コントロールを得るには、末梢気道に残存する炎症をいかに捉え、治療に結び付けるかがポイントになります。

いかに残存炎症を捉えるか
 実は、末梢気道の残存炎症を正確に捉える検査方法は未だに確立していません。そこで、種々の検査を組み合わせて総合的に評価します。呼気一酸化窒素濃度(FeNO)測定、誘発喀痰法1)2)、パルス音波を用いたオシレーション法で末梢気道抵抗を測定する方法などがあります。

呼気一酸化窒素濃度(FeNO)を測定する
 人体において、一酸化窒素(NO)は、血管拡張、神経伝達、感染防御等の様々な生理機能に役立っています。1990年代初め、喘息患者の呼気中NO濃度が高いことが発見され、現在、小型機器(NIOX MINO)(写真1)を用いて、10秒間一定の気流速度を保って息を吹き込むことで簡便に測定できるようになりました。慣れれば小学生から測定が可能です。

著者プロフィール

大林浩幸(東濃中央クリニック〔岐阜県瑞浪市〕院長)●おおばやし ひろゆき氏。日本呼吸器学会「COPD診断と治療のためのガイドライン(第4版)、(第5版)」査読委員、日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン(JGL2009、JGL2012、JGL2015、JGL2018)」作成委員。藤田医科大学医学部客員教授、島根大臨床教授。吸入療法アカデミー代表理事。

連載の紹介

プライマリケア医のための喘息・COPD入門
「吸入薬を処方したのに症状が改善しない」という患者さんの多くは、正しい診断に基づいた適切な治療を施すと、とても良くなります。喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診療において、みなさんが陥りやすいピットホールと、的確な診療のポイントをわかりやすく解説します。
この連載を書籍化しました!
『喘息・COPD吸入療法の患者指導に必携!
メカニズムから見る吸入デバイスのピットホール』好評発売中

 このたび、この連載「プライマリケア医のための喘息・COPD入門」を書籍化いたしました。
 2013年6月から開始したこの連載は、気管支喘息やCOPD診療の主役となった吸入デバイスによる吸入療法を指導する上で必要な情報、患者が陥りやすい操作ミスを、具体例とともに紹介しています。
 書籍では、現在利用可能な11の吸入デバイスごとに、合計300枚を超える写真をふんだんに使いながら、患者が陥りやすいピットホール(誤操作)を大林浩幸氏が書き下ろしています。さらに本書では、吸入デバイスの内部メカニズムも解説。デバイスのメカニズムを知り、操作ミスが発生する母地を把握しておくことで、患者の操作ミスを発見しやすくなり、ミスを起こしやすい操作を重点的に指導することも可能になります。
 ぜひ、日々の患者指導にご活用ください。(大林浩幸著、日経BP社、4500円+税)

この記事を読んでいる人におすすめ