
筆者が委員長を務める「東濃喘息対策委員会」のシンボルイラスト。吸入療法で重要な、「よく見て」「よく聞いて」「よく話して」を表す。
私は、岐阜県瑞浪市で開業しているプライマリケア医です。アレルギー・呼吸器科専門医として日常診療を行っていると、他科の先生から「喘鳴や呼吸苦の改善が難しい」と患者さんをご紹介いただいたり、患者さん自身が「治療を受けているのに良くならない」と当院を受診されることがあります。
実は、それらの患者さんの多くが、正しい診断に基づいた適切な治療を受ければ、とても良くなります。先生方がご存じのように、喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療の主軸は、今や吸入薬です。
ところが、吸入薬が処方されているにもかかわらず、適切な吸入指導が伴っていなかったため、患者さんが薬剤を有効に吸えていないケースや、自己判断で吸入を止めてしまうケースがとても目立ちます。
本稿は、喘息やCOPD治療の主軸となる吸入療法の原点を振り返り、日々懸命に診療されているプライマリケア領域の先生方に、少しでも役に立つ情報を提供したいと願いつつ、執筆させて頂きます。