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症例に見るOMAAVを疑うためのヒント(2)
耳症状のみ、ANCA陰性でも注意深く観察を

2017/12/12
岸部 幹(旭川医科大学耳鼻咽喉・頭部外科講師)

 難治性中耳炎を合併する「抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎」(AAV)では治療が遅れると、難聴や頭蓋内合併症を起こす。初期症状には中耳炎様の症状のみ、ANCA陰性の場合もしばしば見られる。ANCA陰性でもANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)を完全には除外せず注意深く観察するようにしたい。


 前回に続いて、今回も症例を見ていこう。繰り返しになるが、ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)は、治療が遅れると、中耳以外に新たな病変が出現したり、不可逆的な感音難聴に進展したり、肥厚性硬膜炎からのクモ膜下出血を来したりする。ただ、早期のOMAAVでは症状が中耳に限局し、血管炎などの特徴的な病理所見がなく、ANCA陰性例もあるため診断が困難なこともあり得る。

 次に示すのは滲出性中耳炎を発症し、PR3-ANCA陽性で鼻咽喉頭病変、皮膚病変、肺病変、多発性単神経炎に進展したケースである。

著者プロフィール

岸部 幹(旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科講師)●きしべ かん氏。1997年旭川医科大卒。北海道社会保険病院、旭川厚生病院などを経て、2006年に旭川医科大耳鼻咽喉科、2017年から現職。2014年度から2017 年度に、日本耳科学会ガイドライン委員会(ANCA関連血管炎性中耳炎全国調査ワーキンググループ)委員。2017年度には、難治性血管炎に関する調査研究班の研究協力者を務める。

連載の紹介

ANCA関連血管炎性中耳炎を学ぶ
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎は、経過中に耳病変を来すことがある。近年、難治性中耳炎を合併するANCA関連血管炎はANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)とされ、その診断基準が示された。遭遇頻度の高い耳病変からOMAAV疑い例を適切に拾い上げられるよう、旭川医大耳鼻咽喉科の岸部氏にその特徴を、症例を交えて説いてもらう。

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