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腎盂腎炎の診断でCVA叩打痛が当てにならないこれだけの理由

2019/05/15
岡 秀昭(埼玉医科大学総合医療センター)

 成人の尿路感染症は発生率や症状などに性差、年齢差がある感染症であり、性別と年齢を意識して診療する必要があります。若年男性では尿路感染症の発症自体が珍しいですが、女性では誰でも生じ得るコモンディジーズの1つです。女性は尿道が短く肛門と尿道の距離が短いため、泌尿器解剖学的な異常がなくても尿路感染症を起こしやすいからです。

 一方、若年の男性では、尿路感染症自体の発症が珍しいだけでなく、発症した場合には背景に泌尿器系の異常があったり、急性腎盂腎炎だけでなく、性行為感染症としての急性前立腺炎精巣上体炎でも発熱するため、鑑別診断や治療が文字通り複雑(男性の尿路感染症は複雑性尿路感染症)になります。ちなみに男性も年齢が上がると、前立腺肥大症の増加により尿の流れが滞り、女性以上の頻度で尿路感染症を起こすようになります。
 
 前々回、同じ尿路感染症でも膀胱炎は発熱しないことを解説しました(参考記事:若い女性の膀胱炎の診断に尿検査は必須?)。一方、若年の女性で発熱を来す代表的な尿路感染症が急性腎盂腎炎です。男性の場合については、複雑性尿路感染症として改めて説明するとして、今回は、まず女性の急性腎盂腎炎の診断を取り上げます。

著者プロフィール

岡秀昭(埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科教授)●おかひであき氏。2000年日本大学卒。日本大学第一内科で研修後、横浜市立大学、神戸大学、東京高輪病院などを経て、2020年7月より現職。

連載の紹介

岡秀昭の「一般外来で感染症をどう診る?」
「感染症専門医が勧める検査なんかいちいちやってられない」――感染症治療に対して、そんな思いを持っておられませんか? 岡秀昭氏をはじめとした埼玉医大総合医療センター感染症科のメンバーが、プライマリ・ケア医が最低限押さえておくべき感染症診療のポイントを解説します。

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