
前回は、流行期のインフルエンザは、迅速検査による診断ではなく臨床診断を行うことが重要だと説明しました。今回は引き続き、昨年末に公表された米国感染症学会のガイドラインから、インフルエンザ治療について考えてみたいと思います。
そもそも、インフルエンザと臨床診断した場合に抗インフルエンザ薬を全例に処方すべきなのでしょうか。私は、特に健康な成人において、抗インフルエンザ薬は必須ではないと考えています。なぜならば、抗インフルエンザ薬の効果は極めて限定的である一方で、一定確率で副作用のリスクがあり、確実にコストが余計にかかるからです。米国感染症学会のガイドラインでも、下記の通り、低いエビデンスレベルと推奨度で条件付きで考慮するとなっています1)。