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【連載20回 スキル編(8)】
広く天下に師を求めよ

2007/08/01

時代の変遷
 つい最近、畏友K先生から思いがけない話が持ち込まれた。いい加減、淡路島を引き揚げて関東に出て来ませんか、と言う。某県某市の市民病院が存亡の危機に瀕しており、K先生が勤める病院のオーナーがそのてこ入れを引き受けた、ついてはあなたにもぜひご協力をお願いしたい、と。

 聞けば、その病院の常勤医は大方、某大学病院から派遣されてきているが、医局のマンパワーが底を突いて急きょ大学に引き戻されたため、市民病院のスタッフがごそっと抜けてしまったという。

 似たような話はマスコミでも取りざたされ、全国至るところで聞かれるようになった。原因は、研修医の医局離れにあるようだ。オールラウンドに患者を診ることができる医師の養成をという厚生労働省の指針が打ち出されたことや、満遍無く臨床経験を積み、その実績を申告することを求める認定医、専門医制の普及により、偏った疾患しか経験できない大学病院よりは、あらゆる患者が飛び込んでくる第一線の市民病院での研修の方が魅力的になったらしい。若い医学徒は学生の間にこれはと思う研修先を探り、自ら面接を受けて2年間の契約を結ぶシステムになった。

 この新臨床研修制度に至る前は、卒業して医師免許を取った暁には母校の医局に入ってそこで数年の研鑽を積み、学位をおみやげにもらって関連病院に勤めるか他の一般病院に転ずるのがスタンダードなコースだった。

 新制度に則って一般病院に就職した研修医の多くは、2年の契約期間が終わっても大学に戻ることがないようだ。学位よりも専門医のライセンスの方が重視されるようになったのは誠に好ましい。

著者プロフィール

大鐘 稔彦(南あわじ市国民健康保険阿那賀診療所院長)●おおがね としひこ氏。1968年京大卒。民間病院の院長、外科部長などを経て、99年より南あわじ市国民健康保険阿那賀診療所(兵庫県南あわじ市)院長。

連載の紹介

研修医必見!臨床のスキルとマナー
患者に選ばれる医師になるには?医療訴訟に巻き込まれることなく的確な医療を実践するには? ベテラン医が、自身が体験したエピソードをベースに、診療のコツや臨床医としてのマナーを説きます。

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