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【連載19回 スキル編(7)】
学会には積極的に参加せよ

2007/07/13

たとえ地方会でも発表を
 認定医、専門医制が確立された近年では、年に数回、学会参加が義務付けられている。さぼっていると更新時で単位不足となるから、いったんこれらの資格を取った者が年に一度も学会に出ないということはまずないだろう。

 日ごろ、よほど医学雑誌に目を通しているならいざ知らず、日常のノルマに追われてその暇もないのが第一線の現場で働く臨床医の常であろう。

 しかし、忙しさを言い訳に漫然とその日暮に明け暮れていると、確実に時代の最先端の医療情報から取り残され、1年に1度や2度学会に出たところで追いつかなくなる。

 そこでぜひお勧めしたいのは、全国規模の学会のみならず、各学会地方会に出ることである。参加するだけでもよいが、できれば演題を引っ下っげて行った方がよい。前にも書いたように、たとえ一症例報告でも、論文をまとめるためにはいやでも内外の文献に目を通さねばならないし、目を通した暁には、この疾病に関しては自分以上に詳しいものはいないだろうとの手応えを覚えること必至である。

中小病院の医者になればこそ
 私は卒後9年目に70床そこそこの民間病院の責を担い、つぶれかかった屋台骨を再建するのに必死懸命の日々を送っていたが、年に6回開かれていた「日本消化器病学会関東甲信越地方会」に欠かさず出席した。手許の記録をひも解くと、1978年の第152回で最初の発表を行っている。演題は「凍結血漿とモリアミンSで危機を脱した胆摘後イレウス」である。

 しばらく間が空いたが、翌年の第161回から186回まで26回のうち、演題を出していないのは2回のみ。そのうち3~4回は部下に発表させたが、残りはすべて私が演者として赴いた。

 そんな風にしゃかりきになって学会発表を行ったのは、初めて演題を出して送られてきたプログラムを見て愕然としたからである。80題ほどの演題は、8割方大学病院の医者によるもので、2割弱が一般病院、それも世に知られた大病院の医者が演者となっており、私が責を担った病院のような100床にも満たない民間の小病院からの発表は皆無に等しかった。当時はまだ認定医、専門医制など立案もされていない時代で、学会に出て単位を取ることも必修ではなかったから、出なければ出ないで済んだ時代だった。

著者プロフィール

大鐘 稔彦(南あわじ市国民健康保険阿那賀診療所院長)●おおがね としひこ氏。1968年京大卒。民間病院の院長、外科部長などを経て、99年より南あわじ市国民健康保険阿那賀診療所(兵庫県南あわじ市)院長。

連載の紹介

研修医必見!臨床のスキルとマナー
患者に選ばれる医師になるには?医療訴訟に巻き込まれることなく的確な医療を実践するには? ベテラン医が、自身が体験したエピソードをベースに、診療のコツや臨床医としてのマナーを説きます。

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