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日経おとなのOFF presents 医師の絶対教養 美術編

太陽の塔、前から見るか後ろから見るか

 昔、言葉在りけり。「芸術は爆発だ!」

 小柄な体に無限のエネルギーを秘め、その存在自体が“芸術”とも称されていた岡本太郎氏の言葉だ。

 その岡本太郎氏の代表作の一つとして有名な「太陽の塔」。大阪万博閉幕後に取り壊される予定だったが、撤去反対の署名活動などから保存されたものの、その内部は大阪万博閉幕後に原則非公開とされ、長らく人が足を踏み入れることもなかった。その内部再生プロジェクトが動き出し、一般公開されるようになったのは2018年のこと。内部公開のニュースを見て、現地に足を運んだ読者もいることだろう。

 太陽の塔を語るとき必ず言及されるのが、4つの顔だ。1つは頂部、1つは正面、1つは背面、そして最後の1つは内部(塔のおなかの中)にある。頂部にある「黄金の顔」は“金色に輝く未来”を、その下にあり、太郎氏そっくりの団子っ鼻が魅力的な「太陽の顔」は“現在”を、背面にある「黒い太陽」は“過去”を象徴するとされる。そして塔の内部にある第4の顔は「地底の太陽」と呼ばれ、“人間の精神世界”を象徴する。

 太陽の塔は、過去を背負って今を胸に抱き、未来を頭上に掲げ、おなか(まさに丹田あたり?)に精神を宿している、というわけだ。

 さらに、内部には「生命の樹」がある。一見、生命の進化を現しているように見えるが、“自分”に向かって面々と受け継がれてきた命のつながり、そのものではないだろうか。内なる命のつながりは、過去と現在の間を貫き、未来に向かう……。

 嗚呼、生命賛歌そのものではないか。

連載の紹介

日経おとなのOFF presents 医師の絶対教養 美術編
レオナルド・ダ・ヴィンチの時代、医学と芸術に境界はなかった――。いつの間にか生じてしまった医学と芸術の境界を埋めるため、日経メディカル Onilneと、人生をより豊かにするオフ生活情報誌「日経おとなのOFF 」がコラボし、同誌に掲載された美術展情報をお届けします。芸術好きの先生はもちろん、「美術展になんて興味がなかった」という先生方の“絶対教養”向上に貢献します。診療の合間の息抜きや、日常からのつかの間の逃避行に、お役立てください!

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