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日経おとなのOFF presents 医師の絶対教養 美術編

モネ、幻の”睡蓮”60年ぶりのお目見え

2019/04/13
文/中城邦子、アドバイザー/陳岡めぐみさん(国立西洋美術館主任研究員)

 パリ・ルーヴル美術館で、ドラム缶ほどの太さに巻かれたその絵を目にしたとき、大きさに圧倒されると同時に、「『よくぞ、見つかってくれた』と、思わずつぶやきました」とは、作品を確認した国立西洋美術館の主任研究員・陳岡めぐみさんだ。

 その絵とは、印象派の巨匠クロード・モネの『睡蓮、柳の反映』。縦約2メートル、横約4.24メートルの大作は、数奇な運命をたどってきた。

 1920年代初頭に実業家の松方幸次郎がヨーロッパで収集した美術品の1つだが、フランスに留め置いている間に、第2次世界大戦が勃発。戦局が厳しくなり、松方から管理を任された者が他の作品群とともにフランス北部の村へ「疎開」させたが、その時期に大きな損傷を受けてしまう。

 さらに終戦直前、松方のコレクションは「敵国人財産」としてフランス政府に接収される。戦後、返還交渉の末、1959年に375点が日本に戻ってきたが、「この作品は破損状態のひどさから、フランスに取り置かれる作品リストにも、日本へ引き渡されるリストにも入らずに、そのまま忘れ去られてしまったのだと考えられます」。

 長年行方を捜していた国立西洋美術館に、ルーヴル美術館の収蔵庫の一角で、松方旧蔵のモネの『睡蓮』らしき破損作品が見つかったとの一報が入ったのは2016年秋。その約1年後、ついに”帰国”。松方家からの寄贈により、修復の上でこの6月、60年ぶりに公開されることになったのだ。

連載の紹介

日経おとなのOFF presents 医師の絶対教養 美術編
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