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日経おとなのOFF presents 医師の絶対教養 美術編

東山魁夷が鑑真に見せたかった日本の風景

2018/09/15
水野 孝彦=日経おとなのOFF

 日本人ならば誰でも一度は、その風景画を見たことがあるといわれる国民的画家、東山魁夷。その記念碑的な大作が、既に60代前半だった1971年に依頼を引き受け、完成までに10年を要した『唐招堤寺御影堂(みえいどう)障壁画』だ。

 御影堂は鑑真の像を安置する場所で、全68面の障壁画を魁夷は描いた。波の音を意味する『濤声(とうせい)』もその一作だ。非常に生真面目な人柄だったという魁夷は、この障壁画作成のために改めて日本中の山や海を取材して回ったという。

 「その海の風景のエッセンスを集約したのが『濤声』です。山のエッセンスを集めた『山雲』と併せて、日本に渡るために失明までした鑑真に魁夷が見せたかった、日本の風景がこの作品には込められています」(京都国立近代美術館学芸課の小倉実子さん)。

 障壁画を描くに当たって魁夷は、72年の1年間にわたって鑑真や唐招堤寺についても学んでいる。魁夷といえば、白馬のイメージが強いが、例外となる 82年の『緑響く』を除けば、作品に白馬が登場するのは、この1年間だけ。魁夷は白馬に込めた想いを「祈り」と表現している。

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連載の紹介

日経おとなのOFF presents 医師の絶対教養 美術編
レオナルド・ダ・ヴィンチの時代、医学と芸術に境界はなかった――。いつの間にか生じてしまった医学と芸術の境界を埋めるため、日経メディカル Onilneと、人生をより豊かにするオフ生活情報誌「日経おとなのOFF 」がコラボし、同誌に掲載された美術展情報をお届けします。芸術好きの先生はもちろん、「美術展になんて興味がなかった」という先生方の“絶対教養”向上に貢献します。診療の合間の息抜きや、日常からのつかの間の逃避行に、お役立てください!

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