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第15回 血圧管理
抗凝固療法を行う上で一番気をつけるべきことは?

2014/01/27

指導医 今回からはまた、抗凝固療法の話に戻りましょう。ここで質問。プライマリ・ケア医が抗凝固療法を行う上で、実は一番気をつけるべきことは何だと思う?

研修医 PT-INR(プロトロンビン時間国際標準比)を管理すること、アドヒアランスに気を配ること、出血がないかどうか注意すること……。

指導医 それらももちろん大事だね。でもここで聞きたいのは、プライマリ・ケア医が最も慣れ親しんだアイテムと言ってもいい事柄です。答えはスバリ、血圧管理です。高血圧は脳梗塞においても脳出血においても最も頻度の多いリスク因子であり、また管理できる因子でもあります。

研修医 血圧を下げると脳卒中が減るというデータはあるのですか?

指導医 それはもうたくさん。代表的なPROGRESS試験1)(脳卒中既往者6000例対象、平均血圧147/86mmHg)では、血圧が9/4mmHg下がると脳出血は2.4%から1.2%と半分に減ることが示されています。しかも脳出血が最も少なかったのは、平均収縮期血圧113mmHgの最低血圧群でした。

 一方、経口抗トロンビン薬のキシメラガトランとワルファリンを比較したSPORTIF試験2)では、最高血圧群(140.8~191.7mmHg)で、それ以下よりも急峻な脳卒中/全身性塞栓の増加が見られています。

研修医 抗凝固療法中は血圧をどのくらいまで下げればよいのでしょうか?

指導医 抗血栓薬内服中(ワルファリン32.7%、抗血小板薬55.9%、両者11.7%)の日本人を対象としたBAT 試験3)で、頭蓋内出血と血圧との関係をROC曲線で予測したところ、130/81mmHg を超えると頭蓋内出血のリスクが増加することが報告されています(図1)。このことから、抗凝固療法中の血圧は130/80mmHg未満を目指すべきと考えられます。

著者プロフィール

小田倉弘典(土橋内科医院〔仙台市〕院長)●おだくら ひろのり氏。1987年東北大医学部卒。仙台市立病院循環器科、国立循環器病センター、仙台市立病院循環器科医長を経て2004年より現職。ブログ「心房細動な日々」

連載の紹介

プライマリケア医のための心房細動入門
患者数が増え続け、治療方針も大きく変化している心房細動。循環器疾患を専門としないプライマリケア医向けに、実際の症例や最新のエビデンスを交えながら、心房細動の診断、治療を“分かりやすさ最優先”で解説します。
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 本連載のバックナンバーを大幅に加筆・修正し、書き下ろしも加えて全体を再構成。2014年1月に発表された「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」の内容も踏まえ、「リスクマネジメント」の視点から心房細動診療の進め方を分かりやすく解説しました。(小田倉弘典著、日経BP社、3500円税別)

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