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国立病院初!東大に「女性アスリート外来」開設

2017/04/26
能瀬さやか

 異動でバタバタしてしまい、コラム執筆が大変遅くなってしまいました。実は、2月から東京大学医学部附属病院女性診療科に移りました。東大病院でも女性アスリートの支援を続けたいと思っています。そのための専門外来として、4月12日、東京大学医学部附属病院女性診療科に「女性アスリート外来」を開設しました。

 毎週水曜の午後、女性アスリートを対象として、婦人科の問題に対応しています。受診対象者は、競技会に参加する女性としていますが、競技レベルは問わず、競技会に参加する上で何らかの問題を抱えている方であれば、だれでも受診可能としました。もちろん年齢も関係ありません。東京大学予約センターから予約可能です。

 女性アスリート外来で主に扱うのは、(1)女性アスリートの三主徴(無月経、利用可能エネルギー不足、骨粗鬆症)、(2)コンディショニングのための月経周期調節(月経移動)、(3)月経困難症、(4)月経前症候群、(5)妊娠・出産・復帰に関する情報提供などです。

 診療は、女性ヘルスケアの専門医や日本体育協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医、日本アンチ・ドーピング機構公認ドーピングコントロールオフィサーなどの資格を有する医師が担当しています。

障がい者アスリートの支援に注力します!
 東京大学医学附属病院女性診療科では、健常者だけでなく、障がい者アスリートへの支援も積極的に行う予定です。スポーツ庁委託事業女性アスリートの育成・支援プロジェクトとして、「女性特有の問題を抱える障がい者アスリートの管理指針作成に向けた調査研究」を2017年度より開始しています。同事業では、障がい者アスリートの婦人科疾患に対する管理指針の作成、相談窓口の設置、受診環境整備に向けた調査研究を行う予定です。女性アスリート外来でも障がいの有無にかかわらず診療を行っています。

 最近、健常者のアスリートの月経問題については注目されるようになりましたが、障がい者アスリートについてはこれまであまり検討されていませんでした。この度、日本パラリンピック委員会女性スポーツワーキンググループで、2016年リオデジャネイロ・パラリンピックに出場した女性アスリートに対し、月経に関する調査を実施しました。昨年9月に、3泊6日(!?)というスケジュールでリオに行ってきましたが、その調査も目的の1つでした。

 リオ・パラリンピックに出場した女性アスリート46人を対象とし、うち44人が回答してくれました(回収率95.7%)。その結果として、障がい者女性アスリートも健常者アスリートと同様の問題を抱えていることが分かってきました(表1)。しかも、障がい者アスリートの場合、月経の問題があっても受診につながっていない現状も明らかになりました。今後、受診のための環境整備も必要と考えています。

著者プロフィール

能瀬さやか(東京大学附属病院女性診療科)●のせさやか氏。北里大卒。2006年東京大学産婦人科学教室入局後、国立スポーツ科学センターなどを経て、2017年2月より現職。日本産科婦人科学会専門医、日本体育協会公認スポーツドクター、日本アンチドーピング機構公認ドーピングコントロールオフィサー、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医。

連載の紹介

婦人科医が指南!「女性選手の健康支援」
2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。多くのアスリートが出場を夢見てスポーツに打ち込んでいるが、女性選手は、トップ選手に限らず、月経周期異常や月経困難症など女性特有の健康問題を抱えがち。婦人科医でスポーツドクターの能瀬氏が、女性選手特有の健康問題とその解決法を解説する。

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