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スポーツ選手の骨密度は一般人より高い?低い?

2017/02/13
能瀬さやか(国立スポーツ科学センタースポーツクリニック婦人科)

 前回、女性アスリートにおける無月経の現状を紹介しましたが、今回は、骨密度についての調査結果を紹介します。昨年、ある学会で整形外科の先生方に若年者の骨粗鬆症の治療経験について伺ったところ、会場にいらしている先生方全員、診療経験がないと回答されていました。一般に、10歳代や20歳代の若い女性おいて骨粗鬆症や骨量低下を疑わないことでしょう。まして健全なイメージの強い女子アスリートではなおのことかと推測します。

 アスリートの骨量は非アスリートと比較すると10~15%程高いことが報告されており、これには荷重負荷が大きく影響していると考えらえています。荷重部位の骨量は増加するためです。

 最も分かりやすい例として、ウエイトリフティングの選手では、かなりの荷重がかかるため骨量は高いとされています。また、バスケットボールやバレーボールなどの選手ではジャンプ動作によりインパクトがかかる腰椎や下肢の骨量が高いことが報告されています。一方、水泳選手では、水中という荷重がかからない中でトレーニングを行っているため、他競技と比較し骨量が低いという報告があります。このように、荷重が骨量に大きな影響を与えるのです。

無月経の女性アスリートでは骨密度低下が一般的!?
 しかし実際、女性アスリートで骨量を調査してみると、10歳代や20歳代で既に低骨量や骨粗鬆症に該当する女性アスリートが一定の割合で存在していました。骨量が低下した女性アスリートに共通しているのは、無月経です。

 荷重部位の代表例である腰椎の骨密度について、月経正常群と無月経の選手を比較したところ、荷重負荷がかかっているにもかかわらず、無月経の選手では骨密度が低い傾向を示していました(図1)。また、無月経のアスリートでは、一般女性と比較しても骨密度が低いという結果でした。

著者プロフィール

能瀬さやか(東京大学附属病院女性診療科)●のせさやか氏。北里大卒。2006年東京大学産婦人科学教室入局後、国立スポーツ科学センターなどを経て、2017年2月より現職。日本産科婦人科学会専門医、日本体育協会公認スポーツドクター、日本アンチドーピング機構公認ドーピングコントロールオフィサー、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医。

連載の紹介

婦人科医が指南!「女性選手の健康支援」
2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。多くのアスリートが出場を夢見てスポーツに打ち込んでいるが、女性選手は、トップ選手に限らず、月経周期異常や月経困難症など女性特有の健康問題を抱えがち。婦人科医でスポーツドクターの能瀬氏が、女性選手特有の健康問題とその解決法を解説する。

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