日経メディカルのロゴ画像

大腸内視鏡の前処置、事故調提言書を考察する

2020/06/18
西野徳之(総合南東北病院消化器センター長)

 結腸癌などによって結腸が狭窄し、宿便が多くなってくると、腸管内圧が高まり破裂寸前の状態になる。これを筆者は「切迫破裂」と呼んでいる。しかし、この状態でも患者は「おなかが張る」とか「便が出にくい」という訴えだけで一般外来を受診することがある。そのときに腹部単純X線などの画像検査をせず、安易に大腸内視鏡を予定したらどうなるか。前処置薬の内服によってさらに腸管内圧が上昇し、腸管破裂や穿孔を起こしてしまう。

 前回のコラムでは、検査を施⾏する前に腸管破裂を起こして緊急⼿術になった症例や、検査前に腹痛で救急外来を受診し、進⾏結腸癌による腸閉塞が⾒つかった症例などを紹介した(参考:大腸内視鏡の予約前…「切迫破裂」を見逃すな!)。このようなことを防ぐにはどうすべきだろうか。

 実は前回のコラムとほぼ同じタイミングで、医療事故調査・支援センターから『大腸内視鏡検査等の前処置に係る死亡事例の分析』1)が発行されていた。今回はこの分析を見つつ、死亡までには至らなかったが筆者がヒヤリとさせられた症例を提示する。

連載の紹介

西野徳之の「実践! 消化器ローテク診療」
コモンディジーズの中に危険な症例がふと紛れ込んでいる消化器領域では、腹部単純X線や便培養といった地味でも非常に重要な“ローテク診療”が力を発揮します。著者が経験した症例とともに、日常診療のルーティンを見直すヒントを紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ