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臨床推論に使える乙女便秘とフレイル便秘

2019/06/12
西野徳之(総合南東北病院消化器センター長)

 便秘かぜと並んで、全ての診療科の医師が診断し、治療しなければならないcommon diseaseである。最近、慢性便秘症を対象にした機序の異なる新薬が相次いで発売され、選択肢が増えた分、どのように使い分けるか思案している医師も多いだろう。だが、「治療薬の使い分け」は便秘診療のほんの一部でしかない。

 まずは診断の場面。患者が「便が硬い・出ない」などと訴えなければ、便秘と診断することはほとんどないだろう。しかし実は、「お腹が痛い・張る」「背中が痛い・張る」「吐き気がする」「胸焼けがする」「食欲がない」などの訴えが便秘に伴う症状である可能性もある。不定愁訴の影に便秘が存在することもあり、症状を聞いたくらいで便秘の可能性を否定してはならない。

 また、目の前の患者が便秘だと分かったとして、その重症度(緊急性)を判断できるだろうか。便秘には様々な程度があり、硬便が直腸に嵌頓して、排便困難となることもあれば、便秘で腸管破裂(腸管穿孔、宿便性穿孔:stercoral perforation)を起こすこともある。さらに、薬剤の使い分けに関しても、排便回数や便の性状など問診の結果だけで判断していないだろうか。服薬指導や処方の切り替え、生活指導は患者の状態に合わせてテーラーメードで行っているだろうか──。

 便秘は慢性疾患であり、その診断から処方の選択、そして維持療法まで考えると、診療は非常に奥が深いのである。攻略のポイントは「便秘の病態」を理解することにある。これまでのコラムで解説してきた“ローテク検査”や、経口便秘薬の処方だけでない“ローテク治療”の有用性にもスポットを当てながら、便秘に関する話題をこれから数回に分けて解説する。

連載の紹介

西野徳之の「実践! 消化器ローテク診療」
コモンディジーズの中に危険な症例がふと紛れ込んでいる消化器領域では、腹部単純X線や便培養といった地味でも非常に重要な“ローテク診療”が力を発揮します。著者が経験した症例とともに、日常診療のルーティンを見直すヒントを紹介します。

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