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3Dプリンターが実現する人体サイボーグ化
まるでSF、「超音波まで聞こえる耳」も登場

2015/09/25
西村 尚子=サイエンスライター

 6万円前後の安価な汎用機から数千万円以上する高性能機まで、多様な3Dプリンターが市販されるようになった。汎用機は、個人的な趣味や教育目的などで使われている。高性能機の方は、建築物や工業製品のデザイン検討、航空機のエンジンの部品、部品開発のためのモデルパーツなどを作るために導入されているが、医療分野でも活用が進みつつある。まず思いつくのは、術前検討のための病変再現、オーダーメードの人工骨といったあたりだろうが、細胞を材料にした「3Dバイオプリンティング」の研究開発も急ピッチで進められている。

 3Dプリンターは、ABS樹脂やシリコンなどの材料を打ち出しながら平面を一層ずつ積み重ねることで、コンピュータで設計した通りの3次元構造を造形する装置。伝統的な3次元造形が、トップダウンの「材料から削り出す手法」、あるいは「鋳型を使う」ものだったのに対し、3Dプリンターは「付加製造していく」というボトムアップ的な手法といえる。

 医療応用に関しては、既に、チタン合金で人工骨を作る3Dプリンターが市販されている。外傷やがんなどで骨を失った際に、CTスキャンで欠損部の3Dモデルを構築し、誤差1ミリ以内という高い精度で人工骨を作ることができるという。組織や臓器を、血管の位置や質感にまでこだわって造形する、オーダーメードサービスも事業化されている。

著者プロフィール

西村尚子●にしむら なおこ氏。1991年早稲田大学人間科学部人間基礎科学科卒業。専攻は細胞生物学。約10年にわたり科学雑誌『ニュートン』の編集に携わった後、フリーランスのサイエンスライターとして活躍中。主な著書に『知っているようで知らない免疫の話』(技術評論社)、『花はなぜ咲くの?』(化学同人)など。

連載の紹介

西村尚子の「サイエンス最先端」
ネイチャー アジア・パシフィックの特約記者や、サイエンス・メディア・センター(SMC)の非常勤スタッフとしても活動する筆者が、医療・医学につながる最先端の科学ニュースを、楽しく、分かりやすく紹介します。

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