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「閉じ込め症候群」に残された唯一の希望
念じるだけでロボットアームが動く、ブレイン・マシン・インターフェースの大進化

2015/07/10
西村尚子=サイエンスライター

 SNS上で世界を駆け巡った、氷水をかぶるアイス・バケツ・チャレンジ。健康への影響も考えられ賛否は分かれるが、「ALS筋萎縮性側索硬化症)という神経変性疾患の存在」と、その病態の苛酷さを広く知らしめることにはなった。ALS患者が何より恐れるのは、感覚や認知機能が全く正常であるにもかかわらず、動く、意志を表すといった行為が一切できなくなる「閉じ込め症候群」だといわれる。

 閉じ込め症候群と聞くと、「植物状態に見える患者が、事件の唯一の目撃者」という設定で書かれたミステリー『ロックド・イン症候群』を思い浮かべる方がいるかもしれない。作家であり神経内科医の米山公啓氏が1996年に上梓した小説だ。患者と意思疎通するための技術を開発することで事件解決へと向う展開だが、2009年になって同氏は「かってに想像で書いていたメカがソシオメーターとして使われていることがわかった(「米山公啓のブログ」より転載)」と記し、発想が10年早かったと振り返っている。

著者プロフィール

西村尚子●にしむら なおこ氏。1991年早稲田大学人間科学部人間基礎科学科卒業。専攻は細胞生物学。約10年にわたり科学雑誌『ニュートン』の編集に携わった後、フリーランスのサイエンスライターとして活躍中。主な著書に『知っているようで知らない免疫の話』(技術評論社)、『花はなぜ咲くの?』(化学同人)など。

連載の紹介

西村尚子の「サイエンス最先端」
ネイチャー アジア・パシフィックの特約記者や、サイエンス・メディア・センター(SMC)の非常勤スタッフとしても活動する筆者が、医療・医学につながる最先端の科学ニュースを、楽しく、分かりやすく紹介します。

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