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手術支援ロボットda Vinciはどう進化?
今後は拡張現実や触覚、4K映像などの技術を取り込んでいく

2015/02/21
大下 淳一=日経デジタルヘルス

米Intuitive Surgical社のDave Rosa氏

 「Are We Done?(我々の仕事はもう終わったのか)――答えはNoだ」。2015年2月7日に東京都内で開催された「第7回 日本ロボット外科学会」(関連記事)のランチョンセミナーに登壇した米Intuitive Surgical社のDave Rosa氏(Executive Vice President and Chief Scientific Officer)は、同社の手術支援ロボット「da Vinci Surgical System」(通称:ダビンチ)についてこう強調した。

 Rosa氏は、1995年に創業したIntuitive Surgical社の創業メンバーの1人。現在は技術開発の最高責任者を務める。講演では「The Past, Present, and Future of Surgical Robotics」と題し、ダビンチのこの先の進化を語った。ダビンチは臨床に使われている業界唯一の手術支援ロボットで、世界で3000台以上が導入されている。今後はビッグデータや拡張現実(AR)、触覚(ハプティクス)、4K(4000×2000画素級)映像といった、最先端のIT技術をふんだんに取り込んでいくという。

 ダビンチの進化の方向性は大きく4つあると同氏は話す。(1)システム構成の刷新(system architecture)、(2)手術器具の革新(advanced instrumentation)、(3)撮像・表示技術の進化(vision and imaging)、(4)シミュレーションや解析技術の活用(simulation and analytics)、である。これらにより、「治療効果/侵襲度」と同社が定義する患者にとっての価値を高めていくとした。

がん腫瘍だけを光らせる技術も
 (1)のsystem architectureについては、2つのアイデアを紹介した。第1に、患者が横たわる寝台を可動式にすること。術中に寝台の角度を変え、患者の体の向きを自由に変えられるようにすることで、鉗子操作の自由度を高める。第2に、現在は複数に分かれている鉗子を1本にまとめ、体内に鉗子を挿入してから複数のアームが分岐する構造にすることで、侵襲度を下げる。

 (2)のadvanced instrumentationでは、鉗子にさまざまなセンサーを搭載する構想を示した。一例が、触覚を伝えるハプティクス型センサーである。例えば、切開部を手術用ホチキス(ステープラー)で閉じる場合に、どの程度の硬さで閉じられたかを、術者が触覚で感じとれるようなフィードバック機構を採り入れる。術者が触覚を感じられないことは、ダビンチの大きな欠点とされてきた。各種のセンサーのコストが下がってきたことで、こうした技術が「経済的にも見合うようになってきた」。

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