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「若い女性にバルプロ酸」処方していませんか?

2018/12/26
吉村 健佑(千葉大学医学部附属病院特任講師/産業医)

 皆さん、「レセプト情報・特定健診情報等データベースNDB)」をご存じでしょうか? ここ数年の間に、厚生労働省により様々な保健医療のデータベースが構築され、医学研究者や行政官、そして一般の方も入手可能なデータが増えてきています。この連載では、その中で、世界最大規模の医療データベースにして、日本国内での活用が最も進んでいる「NDB」に注目し、医療データの見方と活用法を紹介します。

 今すぐ手元のスマホかPCで「NDBオープンデータ」と検索してみてください。厚生労働省のウェブサイトにたどり着けたでしょうか。そこには大量のデータが公開されています。この誰でもアクセスが可能な「NDBオープンデータ」を用いて、様々な診療科領域の「男女別と年齢階級別分析」と「都道府県別の地域差分析」の実例をシリーズで示していきます。

 データは豊富ですが、あまりに膨大なため、自分1人でデータを読み込むのはしんどいものですが、読み方のコツを押さえれば、日本の医療の現状が丸見えになります。そこのところを、元・厚労省医系技官でもある私が解説していきたいと思います。

 時は2018年、もはや1人の医師や患者さんの「個人の印象」で医療の在り方を語る時代ではありません。データを示し、事実や実態に基づいて医療の未来を議論していきましょう。そんな提案をしたいと思います。 

 さて、この国の医療の実態はどんなものでしょう? 実際にデータを見ていくと、医師として納得できるものもあれば、いわゆる不都合な真実もあります。さて、皆さんを膨大なデータの世界にご案内します。

妊娠可能年齢の女性にも処方されていたバルプロ酸
 ではさっそく、初回の事例をご紹介します。先日、自分自身の論文として英文誌で公開された内容です。

 この研究では、NDBオープンデータを用いて、2014年度の1年間に外来で処方された抗てんかん薬と炭酸リチウム、合計12種類の薬剤の使用錠数(合計10億錠以上)を男女別・年齢階級別に分析しました。その結果、最も処方の多いバルプロ酸(約2.7億錠)は、妊娠可能年齢の女性(15~49歳)に対して、同じ年齢の男性と比較し「やや少なめ」(オッズ比0.89-0.94)程度に処方がされていたことが分かりました。

著者プロフィール

吉村健佑(千葉大学医学部附属病院 特任講師/産業医)●よしむらけんすけ氏。2007年千葉大学医学部卒業。公衆衛生学修士、医学博士。精神科医・産業医としての臨床現場を経て、2015年より3年間、厚生労働省にて医療政策と政策研究に取り組む。2018年4月より現職。

連載の紹介

NDBオープンデータで見る日本の医療
精神科医で産業医、元・厚生労働省の医系技官が、レセプトデータを駆使して日本の医療を「丸見え」にしていきます。もはや「個人の印象」で医療を語る時代ではありません。えっ!こんなことになってんの?という驚きの医療の実態を一緒に見ていきましょう。

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