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「強制退院させるのか!訴えてやる!」と息巻く入院患者

2015/10/13
尾内 康彦(大阪府保険医協会)

 病院から舞い込むたくさんの相談の中で、私が悩ましいと感じるものの一つが「退院しない患者」を巡る問題だ。

 医師や医療機関は患者に対し、良質かつ適切な医療を提供するように努めなければならない義務がある。患者との診療契約は、一般に「準委任契約」とされ、善管注意義務を負う。医師は患者に対し、医学知識や医療技術などを駆使して的確な判断を下し、最善の医療を行う義務を負っている。その原則からすれば、患者は医師から「入院の必要はない」と判断を下されれば、速やかに退院しなければならないはずだ。ところが、入院医療の現場では、必ずしもそうなっていない。患者やその家族が病院側からの退院要請を拒否し続け、挙げ句の果てには、医師に「退院の妥当性を示せ」と脅迫めいた言葉を浴びせるといったケースさえある。

 医師側にトラブル経験が少ないと、患者家族の勢いに萎縮し、主導権を握られ、退院時期がずるずると長引く恐れもある。そうならないための対応法を、具体的な事例をもとに考えてみたい。

著者プロフィール

尾内康彦(大阪府保険医協会事務局参与)●おのうち・やすひこ氏。大阪外国語大学卒。1979年大阪府保険医協会に入局。年400件以上の医療機関トラブルの相談に乗り、「なにわのトラブルバスター」の異名を持つ。著書に『患者トラブルを解決する「技術」』(日経BP)がある。

連載の紹介

なにわのトラブルバスターの「患者トラブル解決術」
病医院を構えている限り、いつどんな患者がやって来るかわかりません。いったん患者トラブルが発生し、解決に手間取ると、対応する職員の疲弊、患者の減少という悪循環を招き、経営の土台が揺らぎかねません。筆者が相談に乗った事例を紹介しながら、患者トラブル解決の「真髄」に迫ります。
著者の最新刊『続・患者トラブルを解決する「技術」』好評販売中

 ますます高度化、複雑化する患者トラブルに、医療機関はどう対峙していけばいいのか。ご好評をいただいた前著『患者トラブルを解決する「技術」』の続編として、解決難易度の高い患者トラブルの対処法を体系的にまとめました。前著が基礎編、本書が応用編の位置づけですが、本書だけでも基本が押さえられるように構成しています。(尾内康彦著、日経BP社、2052円税込)

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