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医師の親切心がトラブルを生むという理不尽なお話

2014/10/27

 医師が患者に親しげな言葉を掛けたり、相手のためを思って親切にしたりすることが、患者トラブルの引き金になることがある、と言われたら、ドクターの皆さんはどう思われるだろうか。「まさか」と思われるかもしれないが、実際にそのようなトラブルは、それなりの頻度で起きている。

 もちろん相手が、ごく普通の患者なら何の問題もない。ところが、妄想癖があり人格障害が疑われるような人が患者だったりすると、親切にしたことがあだになりかねない。もちろん、相手にその兆候があることが最初から分かっていれば対処のしようもあるが、それがなかなか分からないから、やっかいなのである。

 以下で紹介する事例でも、院長自身は人当たりが良く、どの患者にも優しく接し、悩みなどもよく聞いてあげていた。しかし、そういった人柄の良さと思いやりのある振る舞いが、思い込みの強い患者に向けられた時、迷惑な勘違いを引き起こす。一度、「思い込み」のスイッチが入ってしまうと、親切が「愛情」と誤解され、あわてて距離をとる振る舞いをすれば逆に「裏切り」と見なされ、怒りの対象になってしまうこともある。

 実際に起きた事例を見てみよう。

著者プロフィール

尾内康彦(大阪府保険医協会事務局参与)●おのうち・やすひこ氏。大阪外国語大学卒。1979年大阪府保険医協会に入局。年400件以上の医療機関トラブルの相談に乗り、「なにわのトラブルバスター」の異名を持つ。著書に『患者トラブルを解決する「技術」』(日経BP)がある。

連載の紹介

なにわのトラブルバスターの「患者トラブル解決術」
病医院を構えている限り、いつどんな患者がやって来るかわかりません。いったん患者トラブルが発生し、解決に手間取ると、対応する職員の疲弊、患者の減少という悪循環を招き、経営の土台が揺らぎかねません。筆者が相談に乗った事例を紹介しながら、患者トラブル解決の「真髄」に迫ります。
著者の最新刊『続・患者トラブルを解決する「技術」』好評販売中

 ますます高度化、複雑化する患者トラブルに、医療機関はどう対峙していけばいいのか。ご好評をいただいた前著『患者トラブルを解決する「技術」』の続編として、解決難易度の高い患者トラブルの対処法を体系的にまとめました。前著が基礎編、本書が応用編の位置づけですが、本書だけでも基本が押さえられるように構成しています。(尾内康彦著、日経BP社、2052円税込)

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