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病気への同情がトラブル解決の難易度を上げる

2014/01/14

 このところ、同じようなトラブル事例に、何件か立て続けに遭遇している。それは、患者が横暴で明らかにルール違反を繰り返しているのに、診療拒否や強制退院に踏み切れず、ずるずると来てしまっている事例だ。

 いずれの事例でも、医療機関として何度かは診療拒否や強制退院を検討しているのに、最終的には院長などの経営幹部(医師側)が決断を躊躇している。

 トラブルの構造が似ていると私が感じたのは、医師側と看護師側とで、問題患者の受け止め方とその後に取るべき対応法をめぐって、意見が180度異なっている点だ。看護師は普段から、問題患者の矢面に立っているので、できれば診療拒否したいと思っている。一方で医師は、「うちで引き受けないと、この患者は行き場所がなくなるかもしれない」と“医師魂”を発揮し、かばう側に回っている例が多かった。

 こうしたトラブル事例がやっかいなのは、下手をすると医師と看護師の関係にヒビが入ってしまうことだ。問題患者が1人いるだけで、医療機関全体の運営にも支障を来しかねない状況が生まれることもある。

 一つの事例を題材に、こうした場合の対応法を見ていこう。

著者プロフィール

尾内康彦(大阪府保険医協会事務局参与)●おのうち・やすひこ氏。大阪外国語大学卒。1979年大阪府保険医協会に入局。年400件以上の医療機関トラブルの相談に乗り、「なにわのトラブルバスター」の異名を持つ。著書に『患者トラブルを解決する「技術」』(日経BP)がある。

連載の紹介

なにわのトラブルバスターの「患者トラブル解決術」
病医院を構えている限り、いつどんな患者がやって来るかわかりません。いったん患者トラブルが発生し、解決に手間取ると、対応する職員の疲弊、患者の減少という悪循環を招き、経営の土台が揺らぎかねません。筆者が相談に乗った事例を紹介しながら、患者トラブル解決の「真髄」に迫ります。
著者の最新刊『続・患者トラブルを解決する「技術」』好評販売中

 ますます高度化、複雑化する患者トラブルに、医療機関はどう対峙していけばいいのか。ご好評をいただいた前著『患者トラブルを解決する「技術」』の続編として、解決難易度の高い患者トラブルの対処法を体系的にまとめました。前著が基礎編、本書が応用編の位置づけですが、本書だけでも基本が押さえられるように構成しています。(尾内康彦著、日経BP社、2052円税込)

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