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院長を責めたてる患者の診療を拒否できるか

2013/09/17

 「うちは心療内科なんですが、困った患者が1人いるんです。『このクリニックにかかってから、症状がどんどん悪化している。責任を取れ!』『医療ミスがあったんじゃないのか』と、私の治療がひどいと決めつけて、食ってかかってきます。私はあの患者が来るたびに、恐怖を感じます。職員も怯えるようになってきて……。はっきり言って、もう診たくありません。診療を断っても大丈夫でしょうか」

 昼前にかかってきた電話は、大阪の近県でA心療内科クリニックを開業しているA院長からだった。その声は疲れていて、少し思い詰めている感じが伝わってきた。

 精神疾患が疑われる患者が、それ以外の疾患で病医院にかかり、トラブルとなる事例が増えていることは、このコラムでも何回か取り上げてきた。しかし今回のトラブルは、心の病を抱えている患者を専門に診ているはずのクリニックだ。私は、知り合いの精神科医院の院長から、「ときどき、我々でも手に負えない患者がいて困ることがある」と聞いたことがある。この事例も、プロが手を焼くほどの難敵なのだろうか。

 いずれにしても、もう少し詳しい話を聞く必要がある。患者がAクリニックを初めて受診してから今に至るまでの経緯と、患者のパーソナルな情報を可能な範囲で教えてほしい、とA院長に伝えた。

著者プロフィール

尾内康彦(大阪府保険医協会事務局参与)●おのうち・やすひこ氏。大阪外国語大学卒。1979年大阪府保険医協会に入局。年400件以上の医療機関トラブルの相談に乗り、「なにわのトラブルバスター」の異名を持つ。著書に『患者トラブルを解決する「技術」』(日経BP)がある。

連載の紹介

なにわのトラブルバスターの「患者トラブル解決術」
病医院を構えている限り、いつどんな患者がやって来るかわかりません。いったん患者トラブルが発生し、解決に手間取ると、対応する職員の疲弊、患者の減少という悪循環を招き、経営の土台が揺らぎかねません。筆者が相談に乗った事例を紹介しながら、患者トラブル解決の「真髄」に迫ります。
著者の最新刊『続・患者トラブルを解決する「技術」』好評販売中

 ますます高度化、複雑化する患者トラブルに、医療機関はどう対峙していけばいいのか。ご好評をいただいた前著『患者トラブルを解決する「技術」』の続編として、解決難易度の高い患者トラブルの対処法を体系的にまとめました。前著が基礎編、本書が応用編の位置づけですが、本書だけでも基本が押さえられるように構成しています。(尾内康彦著、日経BP社、2052円税込)

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