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トラブルを迎え撃つ心構え(その7)
セオリーが通用しない! 薬物依存が疑われる患者への対処

2012/12/03

 今回は、最近、相談件数が増えつつある「薬物依存が疑われる患者」への対処法を紹介する。この連載の第6回で精神疾患を疑われる患者への対処法を取り上げたが、どちらの患者トラブルも対応は簡単ではない。

 医療機関側に落ち度がなく、一方的に患者から迷惑行為を受けたとき、それに相対する医療機関側の姿勢の基本は「毅然とはね返す」ことである。しかし、相手が薬物依存が疑われる患者の場合は、この基本セオリーが通用しないことがある。強気一辺倒の対応は、対応する医師や看護師を危険にさらす可能性があり、注意が必要だ。

 例えば、患者が明らかに薬物依存で、その薬物の処方を目当てに医療機関に来ている場合がある。医師がそれに気づいて、「薬物の量を減らしましょう」と伝えた途端に、患者の態度が急変することがある。場合によっては、暴力を振るわれる恐れもある。なので、相手の意に沿わない対応を取るときは、慎重さと用心が欠かせない。

 具体的には、暴力を振るわれないように患者との間に十分な距離を取る、コップや花瓶などをテーブルに置かない(武器になるので)、隣室に職員を配置する、警察へ事前に連絡する、などの方法であらかじめ周到に暴力対策を取っておかなければならない。

 では、私が実際に経験した事例をご覧いただこう。

著者プロフィール

尾内康彦(大阪府保険医協会事務局参与)●おのうち・やすひこ氏。大阪外国語大学卒。1979年大阪府保険医協会に入局。年400件以上の医療機関トラブルの相談に乗り、「なにわのトラブルバスター」の異名を持つ。著書に『患者トラブルを解決する「技術」』(日経BP)がある。

連載の紹介

なにわのトラブルバスターの「患者トラブル解決術」
病医院を構えている限り、いつどんな患者がやって来るかわかりません。いったん患者トラブルが発生し、解決に手間取ると、対応する職員の疲弊、患者の減少という悪循環を招き、経営の土台が揺らぎかねません。筆者が相談に乗った事例を紹介しながら、患者トラブル解決の「真髄」に迫ります。
著者の最新刊『続・患者トラブルを解決する「技術」』好評販売中

 ますます高度化、複雑化する患者トラブルに、医療機関はどう対峙していけばいいのか。ご好評をいただいた前著『患者トラブルを解決する「技術」』の続編として、解決難易度の高い患者トラブルの対処法を体系的にまとめました。前著が基礎編、本書が応用編の位置づけですが、本書だけでも基本が押さえられるように構成しています。(尾内康彦著、日経BP社、2052円税込)

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