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患者も医師も「名医」から脱却せよ

2015/03/09
中里信和

 患者に対する疾患教育の大切さは、糖尿病や腎不全などの慢性疾患では以前から説かれています。私が専門としているてんかんも然り。理由は、てんかんも慢性疾患であるためと、一口にてんかんといってもその症状はさまざまであるためです。

 大きな全身痙攣は有名ですが、意識や記憶が薄れて動作が数分間とまってしまう発作や、意識はハッキリしているものの特殊な感覚や感情に数秒間襲われるものなどもあります。目立たない発作の場合には本人、家族、主治医の誰もが気付かないままという場合も少なくありません。このため、てんかんを克服してベストの人生を歩めるかどうかは、患者が自分の「てんかん」をどれだけ正しく理解しているかどうかにかかっています。「名医」は、ときにこの大切な疾患教育を邪魔しかねません。まずは教訓を与えてくれる例をご紹介します。

著者プロフィール

中里信和(東北大学てんかん科教授)●なかさとのぶかず氏。1984年東北大学医学部卒。東北大学脳神経外科研修医・同助手、カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部研究員、広南病院臨床研究部長・同副院長などを経て、2010年より現職。国際てんかん連盟ガイドライン委員会委員。

連載の紹介

中里信和の「てんかん科日誌」
有病率は約1%、日本では100万人もの患者がいるといわれるてんかん。その診療はここ数年で激変していますが、最適な治療に出会えずにいる患者の多くは人生を諦めたままでいます。筆者が経験した症例を紹介しつつ、患者の人生を変え得る「てんかん診療の喜び」を伝えます。

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