「慢性湿疹ですね」「湿疹ですね」「かゆみ止め出しておきましょう」。
「ステロイド外用で良くなるんですね。また処方しておきましょう」。
外来でよくあるやり取りだ。
皮膚科では、「湿疹ですね」ということで実に多数の疾患が目の前を通り過ぎていく。たいていはステロイド外用で片が付く。もちろん白癬菌、疥癬、伝染性膿痂疹などの細菌感染、ヘルペスウイルスによる疾患などを除外して、感染症ではないと確信できたらステロイド外用となる。
診断ができなくとも「湿疹」が治ってしまうので、医師・患者とも安堵(あんど)し、それで終了となる。
ところが、「繰り返す」患者がいる。
処方しても処方しても、再発する。医師もくたくた、患者も生活でくたくた。お互い余り深く考えようとしないと、ステロイド外用薬だけが独り歩きして、こっ、これは「ステロイド外用反応性湿疹デアル」などと妙な新語も登場したりして、自分が何をやっているのか分からなくなる。
実はこういった患者の中に「乾癬」という疾患がある。この疾患、実は……医師の間を「診断されずに」スルーされている。つまり「見逃し病」だ。今回はこの事実を分かっていただきたいので、よろしく……。
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著者プロフィール
中村健一(ドクターケンクリニック院長)●なかむら けんいち氏。信州大医学部卒。宇治徳洲会病院、北里大皮膚科、聖路加国際病院皮膚科を経て、1993年におゆみの皮フ科医院を開業。2018年に移転、医院名を変更。著書に『診療所で診る皮膚疾患』『診療所で診る子どもの皮膚疾患』(いずれも日本医事新報社)など。

連載の紹介
【臨床講座】ドキュメント皮膚科外来
患者はヒタイに病名を書いて来院するわけではない。検査結果を待ってじっくり診断する余裕もない。立ち合い勝負の無慈悲な診療科—それが皮膚科である。教科書に載っていない、皮膚科診療における思考過程を再現してみよう。
本連載が書籍になりました!
『一般内科医が知っておきたい皮膚科の話』
『一般内科医が知っておきたい皮膚科の話』
皮膚疾患を診たい、診ざるを得ない非専門医向けに、身近な皮膚疾患について解説する書籍です。患者数が多く、かつ診断に迷うことが多いものの、皮膚科の教科書にはあまり記載がない疾患を中心に、豊富な症例写真を掲載しつつ、診断に至るまでの皮膚科専門医の思考経路を共有します。さらに、患者満足度を挙げるために押さえておきたいコツも紹介します。
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