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【第30回】虫刺されかどうか、それが問題だ
どうしてますか? 原因不明の虫刺され…

2018/06/26

 「マダニの新たな天敵を発見」が全国レベルのニュースになるくらい、今「虫刺され」が熱い! 夏が近いと皮膚科は虫刺されの患者で賑わう。アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、足白癬などの診断・説明・治療でてんてこ舞いしていると「たかが虫刺されか」と思い、面倒臭いので「薬出しておきましょう」で終わってしまうことがある。

 「実につまらない外来だ。虫刺されなど適当な外用薬を出せば自然に治るし、興味はない!」と考える読者も多いであろう。だいたい蚊に刺されたくらいで医院を受診する患者は少ないし、抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬を処方するだけで治ってしまう。ごくまれに治療に難渋することはあっても何とか解決する。

 ごもっとも。

 虫刺されでは、ムカデ、ハチ、アリなどに「刺された」場合は原因となった虫を患者が自己申告する。つまり「現行犯」なので診断に苦労しない。ハチなど、患者が「その瞬間」を自覚しているのならば診断も早いし、あとは治療法についてネットで検索してある程度対処可能だ。高齢者の「虫刺され」ときたら、例の疥癬は常にマークしている読者も多いと思う。

 何だか分からないが急に症状が出現し、どうも蚊や疥癬などではないらしい。症状が多発性、ないしは個々の発疹が激烈な症状など、「尋常ではない」と自覚した患者が問題だ。「気が付いたらこんな症状に……」と、患者は不安な思いを抱えて医院に足を運ぶ。

 そう…。外来でよく経験する「わけの分からん虫刺されのような病変」を経験したとき、医師はどう対処すればよいのだろうか。教科書には特に記載がないので、「ドーデモイイノカモシレナイ……」という気もするが、現場では患者から説明を求められる。例えば下記のような症状で患者が来院したとしよう。読者はどう診断・説明するだろうか?

症例1 31歳女性。上肢の発疹 家が山の中にあり、ネズミがいるらしい。長袖で寝ていた翌朝に自覚。同様の部位を連日のようにやられる。家族でも同じような丘疹が見られるという。

症例2 70歳男性。上肢に生じた紅斑丘疹 気が付いたら上肢に紅斑丘疹が出現した。中央に出血斑がある。「ダニに刺されて死んだ人がいるとネットに書いてあったので、不安になって」来院したという。

症例3 32歳女性 体幹部に丘疹が散布 掻痒が激しい。一流ホテルに宿泊した旅行帰りとのこと。

症例4 31歳女性。腹部に広がる虫刺されのような発疹 痒みは軽度とのこと。

連載の紹介

【臨床講座】ドキュメント皮膚科外来
患者はヒタイに病名を書いて来院するわけではない。検査結果を待ってじっくり診断する余裕もない。立ち合い勝負の無慈悲な診療科—それが皮膚科である。教科書に載っていない、皮膚科診療における思考過程を再現してみよう。

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