子どもを連れた母親が診察室で質問してくる。
母:先生、この子の体に何かできています。気持ち悪いです。
医師:そうですか…。
母:何でしょうか?
医師:うーん…。みずいぼに似ていますね。みずいぼかも知れないし、そうでないかも知れない…。
母:先生も分からないのですか?(じゃあ医者を変えよう…)
医師:しまった!患者はどんどん減っていく。医院の借金は膨らんでいく。ムムム、どうしよう(内心で)。
前回は、伝染性軟属腫(みずいぼ)への対処法について述べた。しかしそもそも、みずいぼをきちんと診断できているだろうか? 教科書的なみずいぼであれば誰でも診断できる。しかし、患者は教科書通りの症状を示さない。臨床現場はバリエーションの洪水なのである。今回は伝染性軟属腫の見分け方について紹介したい。
まず、幾つかの臨床写真を見てほしい。以下の症例1~7で、みずいぼの症例はどれであろうか?
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著者プロフィール
中村健一(ドクターケンクリニック院長)●なかむら けんいち氏。信州大医学部卒。宇治徳洲会病院、北里大皮膚科、聖路加国際病院皮膚科を経て、1993年におゆみの皮フ科医院を開業。2018年に移転、医院名を変更。著書に『診療所で診る皮膚疾患』『診療所で診る子どもの皮膚疾患』(いずれも日本医事新報社)など。

連載の紹介
【臨床講座】ドキュメント皮膚科外来
患者はヒタイに病名を書いて来院するわけではない。検査結果を待ってじっくり診断する余裕もない。立ち合い勝負の無慈悲な診療科—それが皮膚科である。教科書に載っていない、皮膚科診療における思考過程を再現してみよう。
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