アトピー性皮膚炎の患者:「先生!治りません! すぐ痒くなって…。ステロイドを外用するとよくなるのですが、またすぐ痒くなってしまいます」
医師:「ステロイド外用薬は毎日きちんと塗っていますか?」
患者:「はい…。塗ってはいます。でもずっと使い続けるとお肌に良くないと友達が言うもんですから、なるべく使わないようにしていたんです。悪くなったときだけにちょっと使って、そして、少し和らぐと塗ることをやめています」
医師:「うーん、そうですか…。確かににステロイドの長期外用は、皮膚萎縮といって、皮膚が弱くなります。感染症にも弱くなるでしょう」
患者:「先生、どうしたらいいんですか? 何か魔法の治療法はないのですか?」
これは、よくある外来での問答であろう。アトピー性皮膚炎は再発必発。ベテラン皮膚科医にとっても頭の痛い疾患だ。
昨今は紫外線療法の活用もあり、かなりコントロールできるようになってきた。問題は、そのような機械を購入するお金も、院内スペースもない、ごくごく普通のクリニックの場合だ。高価な機械に手を出せないとなると、“素手”で戦わざるを得ない。どうしたらよいのだろうか?
そこで症例写真である。読者の医院に以下のような症例が来院したとしよう。
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著者プロフィール
中村健一(ドクターケンクリニック院長)●なかむら けんいち氏。信州大医学部卒。宇治徳洲会病院、北里大皮膚科、聖路加国際病院皮膚科を経て、1993年におゆみの皮フ科医院を開業。2018年に移転、医院名を変更。著書に『診療所で診る皮膚疾患』『診療所で診る子どもの皮膚疾患』(いずれも日本医事新報社)など。

連載の紹介
【臨床講座】ドキュメント皮膚科外来
患者はヒタイに病名を書いて来院するわけではない。検査結果を待ってじっくり診断する余裕もない。立ち合い勝負の無慈悲な診療科—それが皮膚科である。教科書に載っていない、皮膚科診療における思考過程を再現してみよう。
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