日経メディカルのロゴ画像

【第5回】
失敗しない「手荒れ」の診察(その1)

2012/02/13

(イラスト:HARU)

 「手湿疹? そんなもの、専門外だから診る必要はない」。そう思っている医師はいないだろうか。では、もし外来で患者に「手荒れ」を相談され、「私は専門外なので分かりません」と言ったらどうなるか?

 「さすが! あの先生は自分の専門一筋なんだな」…と思ってくれる患者なら、あなたはかなり崇拝されている。だが、大多数の患者は、「手荒れぐらい、ハンドクリームか何かをちょこっと処方してくれたらいいのに」と不満に思うだろう。

 患者の手間を思えば、その場で気の効いた処方をしたいところだが…さて、どうする? 「何かいい外用薬はないかな」と思って皮膚科の教科書をめくってみても、「手荒れ」については実に冷ややかな記述しか載っていない。

 手の病変は、ほぼ90%が「普通の手荒れ」である。ステロイド外用薬で炎症を抑制し、良くなったらハンドクリームで普段のスキンケアに励めば、それで解決する。1年目の研修医でもできる。

 はい、では今日のテーマはこれにておしまい。

 …とはならないのだ。実は、このパターンをやった後が怖い。

手湿疹診療の「落とし穴」とは?
 どんな疾患でも「イレギュラー」なことはある。この手湿疹、外界の刺激物と交流が最も多い部位である「手」にステロイド外用を行うことから、いろいろな問題が生じがち。本連載の前回記事で、「ざ瘡の診療は簡単だ」と書いた。ある皮膚科の先生からは、「それは違う、ざ瘡だっていろいろなパターンがある。一般医には難しいのではないか?」といったご意見もいただいた。

 なるほど、そういう一面はざ瘡にもある。しかし、今回の手湿疹の困難さを知ると、逆に「ざ瘡」がいかに取り組みやすい疾患かが分かるはずだ。そうした「専門医レベル」の手湿疹を扱うノウハウとは何か? 実際の症例を通じて理解してみよう。

 まず、おなじみの写真クイズから。

連載の紹介

【臨床講座】ドキュメント皮膚科外来
患者はヒタイに病名を書いて来院するわけではない。検査結果を待ってじっくり診断する余裕もない。立ち合い勝負の無慈悲な診療科—それが皮膚科である。教科書に載っていない、皮膚科診療における思考過程を再現してみよう。

この記事を読んでいる人におすすめ