
(イラスト:HARU)
本日の症例は、20代男性、「かゆみ」で受診。
「どうしましたか?」
「先生、痒くてたまらないんです・・・」
はて?
ふと診ると上腕に痒疹が散布している。痒疹とは痒い丘疹のこと。皮膚科ではよくある。
ああ、この患者さん、ストレスがあるのかな? 睡眠不足か、仕事が残業続きで疲れ切っているんだろうか? ステロイド外用、マイザー軟膏(一般名ジフルプレドナート軟膏)クラスのちょっと強いヤツを処方すればよいだろう。
「ではステ・・・」
「ステロイド外用ですか? してましたよ。たくさん使っていました。でもダメです。治らないんです。どんどん痒みが広がる。先生、どうにかしてください!」
ゲゲッ! ステロイド外用を既に行っていたのか! それもかなり強力なレベルを使用していたらしい。これはマズイ! 単なる湿疹皮膚炎ではない。どうすれば・・・? どのような疾患を考えるべきか?
ステロイド外用が無効で痒みが激しい場合、皮膚科医は反射的にこう考える。
(1)ステロイド外用のレベルが軽すぎて炎症を抑制していない
(2)白癬その他などによる感染症
(3)ステロイドそのものの接触皮膚炎
(4)蕁麻疹
(5)そもそもステロイド外用などは無効の膠原病、特殊な自己免疫性疾患、まれな難治性疾患
さて、症状を診る。
四肢に痒疹。手掌と指の間に僅かな丘疹鱗屑を認める。