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第23回
ハーハーしていれば過換気症候群か?

2018/10/01
村川 裕二(帝京大学溝口病院)

 何度も入院している女性患者さん。
 20歳の娘さんが遅くまで付き添っていました。
 消灯が近くなって……娘さんがナースステーションにやって来る。
 ハーハーと速い呼吸で、苦しそう。
 「お母さんじゃなくて、あたし」
 看護師さんは「ハイハイ」と慣れた感じで紙袋を渡す。
 娘さんは袋を口に当てて呼吸を繰り返す。
 しばらくして落ち着いてニッコリ。
 こんな様子を見たような記憶。
 最近、大阪の佐々木達哉先生の著書『循環器疾患ディベートII』(メディカルサイエンスインターナショナル、2018)を読んでいたら、
 ●過換気症候群にペーパーバッグ法はしてはいけない
 ……という話が載っていた。
 「へー」と思ったので、今回は過換気症候群のお話。

典型的な過換気症候群

 若い女性。
 誘因がある。
 呼吸数が多い。
 四肢のしびれ、テタニー。
 ……なんてイメージ。

なぜハーハーする

 呼吸中枢は延髄にあります。
 動脈血のO2濃度とCO2濃度が主なインプット。
 CO2の正常値は40mmHg当たり。
 生理学の講義で習うけど、呼吸中枢はO2よりCO2にビビビと反応する。
 ●CO2上昇→換気頑張れ
 ●CO2低下→換気落とせ
 ……が基本。
 だけど、大脳も呼吸をコントロールしています。
 呼吸の速さは短時間なら自分の意思で調整できる。息を止めることも。
 大脳皮質が呼吸中枢を制御しているのは「いわれてみるとそうだなあ」であります(下図)。
 

著者プロフィール

村川裕二(帝京大学附属溝口病院第四内科・中央検査部教授)●むらかわゆうじ氏。1981年東京大学卒。83年同大第二内科入局。89年関東中央病院内科、91年東京大第二内科助手を経て2003年帝京大附属溝口病院第四内科助教授。04年同教授。16年中央検査部教授を兼務。

連載の紹介

村川裕二の「ほろよいの循環器病学」
某医学雑誌で10年以上、循環器病学の連載を続けてきた筆者の名コラムが、場所を移して“新装開店”。堅い話になりがちな最新医学の話題をゆるゆる、まったり解説。穏やかな語り口に引き込まれながら、読みふけってしまう。肩肘はらず、グラスを傾けながら、たそがれ時のお供に。イラストも筆者のオリジナル。

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