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第17回
世の中は「イキチ」で動いている

2018/04/02
村川 裕二(帝京大学溝口病院)

 家庭教師をしていた学生時代。
 代々木上原、武蔵小金井、希望ヶ丘。
 2時間一緒に勉強、そして<宿題>を出す。
 無理やり詰め込む→「勉強大好き」にはならない。
 テレビCMの中学生なら……。
 額の「やる気スイッチ」をパチン→モリモリ頑張りたくなる。
 ……だけど、「やる気スイッチ」がどこにあるのか分かりませんでした。

どうすれば「やる気スイッチ」を押せるのか?

 ●とにかく始める→行動が逆に脳に刺激→モチベーション上がる。
 ●できない理由はなにか考える→障害を消す→勉強はかどる。
 「ご説ごもっとも」ではありますが……。
 睡眠障害の人に、「ともかく目をつぶろう」とか、「寝る前に興奮せぬように」と言う雰囲気。
 「こりゃ行ける」ほどのアイデアでもなし。

働かないアリの話

 『働かないアリに意義がある』(長谷川英祐、メディアファクトリー 2010年)という本が売れました。
 個体ごとの「反応閾値」の差に影響されて、集団の一部は「働かないアリ」になるのだとか。
 一生働かないアリもいる。
 そのタイプのアリでも、万一の切羽詰まった事態→働き出す→集団としては、労働量のバックアップになる→存在意義がある
 という社会学的というのか、進化学的というのか、シブい説明がなされております。
 <勉強する、就職する、お金を稼ぐ>というノルマにどう向かうか。
 それぞれの感度に左右される。すぐに「ファイア」となったり、「ノッソリ」していたり。
 「やる気スイッチ」が見つかりやすい人は、いい意味で「閾値」が低いんですね。

電気ショックのエネルギー

 唐突ですが……。
 心室細動は致死的不整脈。
 直流の電気ショックで治療します。
 エネルギーが大きいほど、治療効果が高いです。
 直流通電の臨床応用は1950年ごろから始まりました。
 1980年代に心室細動に対して植え込み型除細動器が考案されました。

エネルギー量と除細動成功率の関係に注目

 このエネルギー以上なら「心室細動が停止する」という意味で、<除細動閾値>という言葉が広がりました。
 実際は同じエネルギーでも「成功したり、不成功だったりする」ので、下図のようなS状曲線みたいな関係にあります。

著者プロフィール

村川裕二(帝京大学附属溝口病院第四内科・中央検査部教授)●むらかわゆうじ氏。1981年東京大学卒。83年同大第二内科入局。89年関東中央病院内科、91年東京大第二内科助手を経て2003年帝京大附属溝口病院第四内科助教授。04年同教授。16年中央検査部教授を兼務。

連載の紹介

村川裕二の「ほろよいの循環器病学」
某医学雑誌で10年以上、循環器病学の連載を続けてきた筆者の名コラムが、場所を移して“新装開店”。堅い話になりがちな最新医学の話題をゆるゆる、まったり解説。穏やかな語り口に引き込まれながら、読みふけってしまう。肩肘はらず、グラスを傾けながら、たそがれ時のお供に。イラストも筆者のオリジナル。

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