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第4回
水飲んじゃダメですか?─心不全

2017/03/01
村川 裕二(帝京大学溝口病院)

 朝日も西日も当たらない北病棟。
 心不全の患者さんは、喉が渇いていました。
 を飲もうとしたら、「あ、ダメダメ」の声。
 ナースになって20年の看護師さん。
 しばらくして……。
 <を5、6個入れたマグカップ>を差し出し
 「渇きが取れますよ」

 なんて場面を研修医の時に見た記憶。
 <心不全だと水を飲んじゃいけないのか>考えてみました。

軽症なら

 ほとんどの心不全は、水制限は要らないです。
 腎機能がほどほどあれば、余った水は「お引き取りください」と排泄。
 <余剰の水→たちまち浮腫>は基本的になし。
 自由水という用語があります。
 <ナトリウムイオンやアルブミンなど浸透圧を維持させる物質>を含まない水。
 腎機能がまともなら、自由水は「循環系の負荷」としては軽くいなせます。

いつ水制限?

 塩分制限をしているときや利尿薬使用中に、余った水を始末できないなら、水制限あり。
 重症心不全。
 脳下垂体からの抗利尿ホルモン(ADH)が増える→薄い尿が作れない。
 水制限しないと、どんどん低ナトリウム血症になります。
 ナトリウム値が120mEq/Lを下回ると意識も怪しくなります。
 図1のように、低ナトリウム血症があると予後は悪いです。

著者プロフィール

村川裕二(帝京大学附属溝口病院第四内科・中央検査部教授)●むらかわゆうじ氏。1981年東京大学卒。83年同大第二内科入局。89年関東中央病院内科、91年東京大第二内科助手を経て2003年帝京大附属溝口病院第四内科助教授。04年同教授。16年中央検査部教授を兼務。20年から客員教授。

連載の紹介

村川裕二の「ほろよいの循環器病学」
某医学雑誌で10年以上、循環器病学の連載を続けてきた筆者の名コラムが、場所を移して“新装開店”。堅い話になりがちな最新医学の話題をゆるゆる、まったり解説。穏やかな語り口に引き込まれながら、読みふけってしまう。肩肘はらず、グラスを傾けながら、たそがれ時のお供に。イラストも筆者のオリジナル。

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