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第12回 特殊領域の感染対策
精神科病棟で必要となる感染対策のコツ

2017/07/26
森兼 啓太(山形大学医学部附属病院感染制御部・検査部)

 この連載を開始して1年が経過しました。私はこれまで連載というものを担当したことがなかったので、どのような展開になるか想像もつきませんでした。当初、原稿の締め切りが近づくたびに、「次はどのネタにしようかな…」と楽しみながら考えていましたが、段々ネタがなくなってくると楽しみが苦痛混じりになり、連載作家の気持ちが少し理解できるようになった気がします(笑)。

 さて、今回は特殊領域の感染対策について考えてみたいと思います。先日、「精神科領域の感染制御を考える会」のセミナーが開催されましたが、精神科領域は感染対策を考える上で特殊中の特殊だと思います。何しろ、一般領域で常識とされている感染対策が通用しないわけですから……。

 例えば、「スタッフの手指衛生の実施頻度を高めるために、廊下にも手指消毒薬を置いてアクセスをよくしましょう」という一般領域で常識とされる感染対策も、「患者、特に慢性アルコール中毒患者が飲んでしまうので置けません!」と反論されてしまいます。そこで、解決策(妥協案)として、「スタッフが個人で手指消毒薬を持つか、または万一全量飲んでしまっても急性アルコール中毒にならない量の小さなボトルを廊下に配置しましょう」といった、精神科領域特有の感染対策が生まれます。

 他にも、

著者プロフィール

森兼啓太(山形大学医学部附属病院教授、検査部・感染制御部部長)●もりかねけいた氏。1989年東京大学卒。消化器外科医として勤務するうちに感染制御に関心を持つようになる。国立感染症研究所を経て2010年より現職。

連載の紹介

わかる!院内感染対策
針刺し切創、カテーテル関連血流感染、カテーテル関連尿路感染、周術期の手術部位感染、多剤耐性緑膿菌など、院内感染に関して知っておきたい最低限のトピックスを、日本環境感染学会教育委員会委員長を務める森兼啓太氏が紹介します。基礎からの解説なので、院内感染対策に興味がない医師や、これから院内感染を学びたいと思っている医師にもピッタリです。

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