日経メディカルのロゴ画像

第8回 職業感染対策その3
はしかを診たこと、ありますか?

2017/03/22
森兼 啓太(山形大学医学部附属病院感染制御部・検査部)

 前回取り上げたインフルエンザですが、本稿執筆時点(3月中旬)では全国的に流行のピークを越えたものの、まだ終息していないようです。私の所属する病院では、全ての職員に対して、インフルエンザと診断されるか感染が疑われる時点で感染制御部に連絡するよう依頼しています。この冬は、40人を越える職員からインフルエンザに感染したという報告が寄せられています。今週も報告がありました。さらに、職員だけでなく入院中の患者が発症したという報告も時々あります。

 感染制御部ではそのたびに、感染者の治療と周囲の患者や職員で濃厚に接触した人に対する発症予防投薬の是非について検討しています。さながらモグラ叩きの様相を呈していますが、このような地道な活動が院内のインフルエンザのアウトブレイクを防ぐ方法の1つであると信じています。

 さて、今回は同じウイルス性感染症である麻疹をとりあげます。読者の方々に麻疹患者を診察したことのある方はいらっしゃるでしょうか。おそらく、それほど多くはないと思います。母子手帳の記載によると、私自身も罹患したことはありますが、患者を診たことはありません。現在、優れた公衆衛生施策によって麻疹の流行が制御されていますので、日常診療で麻疹患者にお目にかかることはめったにないわけです。

 麻疹は、麻疹ウイルスを起因病原体とする疾患です。10~12日の潜伏期を経て、発熱などのカタル症状を特徴とする前駆期(カタル期)、次いで症状が若干軽快したのち全身の発疹を特徴とする発疹期へと移行していきます。発疹期での診断は比較的容易ですが、カタル期はその非特異的症状から診断は容易ではありません。有力な手がかりとして、コプリック斑(図1)が有名です。

著者プロフィール

森兼啓太(山形大学医学部附属病院教授、検査部・感染制御部部長)●もりかねけいた氏。1989年東京大学卒。消化器外科医として勤務するうちに感染制御に関心を持つようになる。国立感染症研究所を経て2010年より現職。

連載の紹介

わかる!院内感染対策
針刺し切創、カテーテル関連血流感染、カテーテル関連尿路感染、周術期の手術部位感染、多剤耐性緑膿菌など、院内感染に関して知っておきたい最低限のトピックスを、日本環境感染学会教育委員会委員長を務める森兼啓太氏が紹介します。基礎からの解説なので、院内感染対策に興味がない医師や、これから院内感染を学びたいと思っている医師にもピッタリです。

この記事を読んでいる人におすすめ