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第3回 カテーテル関連尿路感染防止
尿道留置カテ感染時に抗菌薬投与は必要か

2016/10/26
森兼 啓太(山形大学医学部附属病院感染制御部・検査部)

 前回に引き続き、カテーテルに関連した感染症の対策について解説します。カテーテルはとても有用な医療器具ですが、院内感染対策的には感染症を引き起こす厄介物ともいえます。血管内留置カテーテルと並んで、尿道留置カテーテルに関連した尿路感染(Catheter-associated urinary tract infection、CA-UTI)は、かつては最も多い院内感染でした。しかし、第1回で紹介したとおり、米国のデータでは第4位の感染症で、近年ではかなり良好にコントロールされるようにはなってきました。ただし、その実数は年間9万件と相当な数です。

 日本の尿道留置カテーテルは年間1000万本ほど使用されています。その平均留置日数は、術後の超短期留置から30日を超えるような留置まで相当なばらつきがあり、推測は困難です。仮に7日間とした場合、前回も引用した日本環境感染学会のデータ(尿道留置カテーテル1000使用日あたり約2件のCA-UTI発生)を使用すると、年間1万4000件のCA-UTIが発生していることになります。

 CA-UTI減少の1つの要因として、尿道留置カテーテルを漫然と留置することが少なくなってきたことがあげられます。看護師の方々は特に感じることでしょうが、尿道カテーテルを留置しておくと、頻繁にコールを受けることもなく、はっきり言って「ラク」です。しかし、カテを留置された患者はCA-UTIのリスクに日々直面し、またCA-UTIを起こしてしまうと入院期間が長くなるのも事実です。留置期間をできるだけ短くするのが今日の看護ケアの流れかと思います。

 CA-UTIに対しても、前回の血流感染対策と同様に、基本的な防止策は確立しています1)。以下がその代表的なものです。

著者プロフィール

森兼啓太(山形大学医学部附属病院教授、検査部・感染制御部部長)●もりかねけいた氏。1989年東京大学卒。消化器外科医として勤務するうちに感染制御に関心を持つようになる。国立感染症研究所を経て2010年より現職。

連載の紹介

わかる!院内感染対策
針刺し切創、カテーテル関連血流感染、カテーテル関連尿路感染、周術期の手術部位感染、多剤耐性緑膿菌など、院内感染に関して知っておきたい最低限のトピックスを、日本環境感染学会教育委員会委員長を務める森兼啓太氏が紹介します。基礎からの解説なので、院内感染対策に興味がない医師や、これから院内感染を学びたいと思っている医師にもピッタリです。

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