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笛を吹かれる前に考えるべきことがあるだろう?

2018/01/22
森井大一

 単回使用医療機器の再使用というのは、ふらっと地球に降り立ったような宇宙人には「賢明なる愚者」、「無期という有期」といった類の言葉遊びにも聞こえるに違いない。昨年短期連載させていただいた中では、「単回使用」を定めているもの(=添付文書)の脆さ、そして「再使用」という裁量が医師・医療者に許されているのか否かにまつわる考察を中心に論を進めた(関連記事1関連記事2関連記事3関連記事4)。

 しかし、添付文書で単回使用と定められている医療機器を再使用することに関して、尽くすべき論はまだある。編集部にお借りできる紙幅の制約から前回十分に触れることができなかった点に関して、改めて論じる機会をいただけないかと考えていたところ、編集部からこのコラム連載の機会をいただくこととなった。

 コラムを始めるにあたり、筆者の立場を明らかにしたい。筆者は、医学研究ともつかない“研究”に従事しつつ、非常勤の医業で口に糊することに汲汲としている学徒に過ぎない。感染対策を一応の得意にはしているが、現時点ではどの医療機関の感染対策にも関わっていない。医療機関に属していないので医療安全にも医療機器管理にも、今は我がこととしては関わっていない。まして、行政とも特段の関係はない。行政の仕事をしていたのは、もう何年か前の話である。そんな浮き草のごとき身分であるので、例えば「単回使用医療機器の再使用問題」は、筆者にとっての(今のところ)学問的研究対象でもなければ日常業務でもない。この問題を考えることは筆者にとって片手間の作業であり、あまりのめり込み過ぎると本業の障害ともなりうる、趣味のようなものである。ただし、医療者である以上、片手間なりに考えないといけないことはある、と思っている。

著者プロフィール

森井大一(もりい・だいいち)●大阪大学大学院医学系研究科博士課程。2005年3月大阪大学医学部卒業、同年4月国立病院機構呉医療センター、2010年大阪大学医学部附属病院感染制御部、2011年米Emory大学Rollins School of Public Health、2013年7月厚生労働省大臣官房国際課課長補佐、2014年4月厚生労働省医政局指導課・地域医療計画課課長補佐、2015年4月公立昭和病院感染症科を経て今に至る。2018年から阪大病院の感染制御部医員も兼務。

連載の紹介

森井大一の「医療と経済と行政の交差点」
救急医として医師のキャリアをスタートさせた後、感染制御に越境し、公衆衛生を学んだ上で、厚生官僚を経験。現在はノーベル賞受賞で話題の行動経済学を医療に応用すべく研究を進める筆者に、 医療と経済と行政が交わる地点に立って思いの丈を語っていただきます。

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