この連載は救急搬送される患者の病院到着前に、救急隊からの連絡(収容要請)を基にどのように考えるかを、症例ベースで展開しています。病着後にまず確認すべきレッドフラッグは何かを意識しながら、救急ならではの臨床推論を一緒に体験してください。レッドフラッグは「見逃してはいけない疾患を示唆する徴候や症状」を意味します。主訴ごとのレッドフラッグを想起することが、診療の第一歩です。
救急医M 今日は主訴<呼吸困難>で超緊急となる、6つの疾患をまずおさらいしましょう(図1)。6つの疾患の各レッドフラッグを示します。

図1 主訴<呼吸困難>の二次元鑑別リスト 二次元鑑別リストは、「主訴ごとに頭の中に鑑別疾患の引出しをつくる」という目的で作成したものです。救急で大切な2つの軸(重症度・緊急度)で分割した4つの枠に、該当する疾患名を挙げています。「右上」の疾患は重症度・緊急度ともに高い疾患で、救急で見逃してはいけない疾患として視覚的に把握できます。なお、各枠内での位置関係は問わないこととしています。中央の目安は、重症度は「入院が必要」、緊急度は「直ちに治療介入が必要」としています。(※クリックで拡大表示されます)